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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 83

形式上まだ女子校から共学の過渡期、そして現実問題まだまだ男女の垣根は高い。
僕だって役員に選ばれなかったらどうだったか、わからない。
剣道部でそれなりの交遊関係を保ちながら、三年生になって完全共学になる様子を見守るだけだったろう。

そこへ祐くんと来たら何の権限も肩書もなく、垣根どころか城壁すらブチ破りそうなアグレッシブぶり。
そんな彼は今、茜さんにホウキでモフられ尽くし、ゴキブリの様に這い蹲っていた。

「その辺にしておきなさい春田さん。」
「はいはい。」

物腰穏やかにして力強く囁いた声の主、亜里沙さんが茜さんからホウキを取り上げる。
一般的な男子からは近づき難いとされる生真面目な雰囲気も、僕としては逆に男女の差を意識させず、とっつき易い部類。

「ふぉおおお!亜里沙ちゃんマジ天使!」
「ななな何ですっ…ななな馴れ馴れしいっ!」

助けて貰ったにも関わらず、亜里沙さんに祐くんは何の躊躇いもなく軽口を叩く。
亜里沙さんにホウキの柄(つまり固い方)で続けざま打たれるも、ダメージの通った様子がない。
冗談みたいな仕草で身を庇う動作、微妙な角度で打撃を滑らせている…それもうちょい空手に活かせよ。

「亜里沙ちゃんドンマーイ!」
「次は真剣でぶしゃーだね?」

小坂井姉妹が笑顔で怖い事言ってる傍ら、亜里沙さんが諦めた所で早紀さんが祐くんに手招きしていた。

「これがその、メールで連絡した奴なんだけど。」
「了解!書記長閣下!」

早紀さんの用件とは押収品、それもR18品の方を持ち主への返却と警告、それで呼ばれたのか。

うん、なるほど…そういうことか…って、え?
それって、まさか…

「祐くん」
「なんだ、樹?」
「それって、祐くんの持ち物?」
恐る恐る、言葉を選んで祐くんに尋ねた。

「ああ、俺としたことが…って、もちろん悪意はないぞ、全く」
…それはモノによるぞ。
…僕だけなら呆れるだけでいいけど、なんだろう、背後からゴゴゴゴゴゴゴゴ…とかいう音が似合いそうな、恐ろしい気配を感じるんですけど…

「樹…まさか本気にしてんじゃないだろうな。」
「祐くん、冗談でも本気でも場所を選ぼうよ。」

それよりすごいな、茜さんって女子の中でも結構小柄な部類だけど、こんなに大きく見えるんだ。
本気出すと結構力も強いみたいで、長身の祐くんを軽々と持ち上げちゃった。
そして祐くんをびったんびったん床や壁に叩きつけてる。

しかし彼の体重と比べて衝突音が異常に小さい、今度も何か特殊な受身を使っているんだろう。

それよりテーブルに並んだR18品、どれも持ち主を記して貼られた付箋紙に長良祐一郎の名前はない。
祐くんは普段通りふざけていたが、僕は早紀さんに実際の所どんな事情で彼を呼んだのか聞いてみた。

「彼なら誰とでも話せるタイプという事で、持ち主の所を回って貰うよう要請しました。」

貼り付けられた付箋には男子ばかりか、押収先が漫研女子の薄い本まであった。

少なくともこれらを茜さんや葵さんが返却して回るのは到底無理(梓さん辺りは平気そうだが)。
消去法で僕な訳だが、剣道部以外で他クラスの男子と面識が薄く、生徒会との間に変な軋轢を生みかねない。

「そこで、パイプ役として彼を選びました。」

早紀さんは彼の特性を見抜いていた。
仮に持込禁止を破りながら逆ギレする生徒がいても、確かに祐くんなら軽口で説き伏せるだろう。

そして気が付けば衝撃音が止んでいた。
一方的に攻めていた筈の茜さんがバテバテで突っ伏し、無傷の祐くんは軽快にR18品を回収し生徒会室を出て行く。

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