生徒会日和。 80
そして、僕たち自身はあと二往復位して、F組までの1年生6クラスにロッカーを置くことができた。
そのころには、機材庫も問題なく入れる部屋になっていた。
「樹くん、ここは、将来の更衣室候補地として、どう思う?」
歩さんが、仕事をやりきった感たっぷりの爽やかな笑顔で尋ねる。
「なかなか良い感じですね。今の僕ら男子の数的には余裕もありそうですが」
「使うときは私たちの仕事ぶりを思い出してくれたまえ」
「はい」
僕の肩をポンポン叩きながら得意気に胸を張る歩さんを、真希さん以下、苦笑い?で見つめるのだった。
「いつから使い始めるんです?」
「早ければ夏休み明けくらいかな」
当然、余剰のロッカーだけでなく長椅子・長机の類は更衣室用に残す方向。
他にもまだ結構な数が余る事務用品全般と多少の電化製品、電気ポットや扇風機に出所は文化部らしい、多少の型落ち品でもまだ使えるパソコンまで出て来た。
それらが相応の部活・委員に行き渡るまでそう時間はかからないだろう。
そして懸念されていた私物の放置品、先輩方の置き土産はごく少数だったが、やはりロッカー使用に当たって念押しした方がいいだろう。
実際僕が運んだロッカーのうち一つからは、袋の中で腐敗とカビが進みすぎてゴルフボール大まで縮んだ元・焼きそばパンが出て来た。
「キュンと来ないしジュンと来ないよ…一般アニメで男の娘とか気持ち悪いよ…。」
なにやら茜さんは別の意味で腐り物を発掘してしまったらしい、不憫な人だ。
葵さん曰く、古いポータブルDVDプレーヤーを発見した茜さんが再生してしまったそうな。
とりあえずR18指定のなかったDVDで動作点検、可愛らしいツインテール女子?のジャケットに騙されたそうだ。
「今時の男子ってああいう…」
「着ません。」
いかん、正気こそ保っている葵さんまで少々毒気にあてられている、女装して登校する男子なんてごく一部の、主に二次元の話でしょうに…。
「ふーん…樹くんって、結構中性的で似合いそうな感じだけどな〜…」
2人の後ろでさらりと姫さんが危険なことを言っておられる!?
「と、とにかく、見つかったものはどうしましょうか…」
「いったんこっちで保管しようかな」
うまくかわしたわね、なんて言いそうな表情で真希さんが僕に言って、件のDVDをプレーヤーごと回収した。