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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 72

「うん、それもそうだね。これから先、男の子だってこの学校にはどんどん入ってくるわけだしね」
歩さんは腕組みして僕の意見に頷いた。

…ただ、男子が入ってきたとはいえ、この学校の男子比率はごくわずか。
僕のクラスを例に挙げても35人の中で男子は僕を含め12人と、クラスの半分にも及ばない。
1年生のほかのクラスにしても話は一緒なのだ。

「というわけで、男子更衣室の効果は、1年女子132名が、数分間教室に入れないことの解消、プラス、男子72名への配慮、ということになる」

 歩さんはパソコンの前に座ってexcelに数字をいれていった。
 「男子への配慮、をどう定量化するか、だけど…たしか、女性が裸を見られたときの慰謝料と男性が裸を見られたときの慰謝料の相場が何分の一、っていうのを聞いたことがあるからそれを係数にしよう」
 法律は男女平等、っていうけど、やはりそうでもないのか。
「これだと、今は少なくても、例えば、来年四月に向けて男子更衣室を作る、とかならより通りやすいかもしれない」

 やはり歩さんだ。前向きに考えてくれている。

「あと、女子更衣室が遠い、のは、確かに一年生の教室からは遠いけど、グラウンドとか、プールや体育館から、どのくらい離れていたかな?」

「それは…」
「プールや体育館に行くほうは、それほど遠くは思いませんね」
葵さんと茜さんは口をそろえる。

「そう。必ずしもデメリットしかないってわけじゃないでしょ?片方には不便でも、もう片方では…って。そこで案配は取れているはず」
歩さんは静かに微笑む。

さすが、生徒会長である。
成績が上がらなくて悩んでいるとは言っていたが、歩さんはそれ以上の素晴らしい人間性を持っていると、僕は思った。

歩さんはホワイトボードに簡単な地図を描く。

「まぁどうしてもって言うなら、一応は別の案もあるよ。」

所々で変なモヒカン、焼却炉で汚物を消毒してたり、駐輪場脇の水道でヒャッハー水だ!してたり、食堂でそんなデカいババァは居なかったり。
世紀末な落書きを加える余裕を見せながら(残虐シーンは自重)、補足説明してくれた。

何かを特定の学年・クラスに近くして欲しい、という条件だと事情があってもワガママの部類として却下される。

ロッカーにせよ更衣室にせよ『これから用がある場所』に近くしてほしい、という条件なら多少の筋は通る。
例えばグラウンドまでの通り道に更衣室があれば結局は対等だ。

「そこまで必要があるか解らないけどね。」

歩さんは鉄仮面で七つの傷の人が上手く描けず諦めながら、補足説明を締めた。


まだまだ色々考えて、改善と検討を進める必要があるということか。
それはこれから生徒会を支える僕たちの役目だろう。

ガチャ
「すいません、遅れました」
生徒会室に入ってきたのは早紀さんだ。
何か物の入った紙袋を持っている。

「早紀ちゃん、それ何?」
「生徒指導の先生から渡されたんです。1年4組の男子が校内に持ち込んで没収したものだそうで」

…男子から没収?
僕は何と無く、嫌な予感がした。

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