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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 71

男子と女子、両方の要望をうまく取り入れたいところだが、現実うまくいくかは難しい。
なるべくなら葵さん、それに昨日相手した姫さんや蜜恵さんの期待に応えたいが…

「やー一年生諸君、みんないるね?よいことです」
歩さんが入ってきた。
この話、先輩方の意見も聞きたいところだ。

 僕は更衣室に関する要望について歩さんに話した。

 歩さんは、ホワイトボードの前に立ってペンを持った。
「問題として挙がっているのはこれね」
 歩さんは以下を書いていく。

『女子更衣室が遠い』
『女子のロッカーが遠い』
『男子が教室で着替えていると入れない』

「更衣室とロッカーは別の問題なのですか?」
「そう、教科書とか取りに行く、っていう話あるでしょ…本当は教科書をロッカーに置いておくのは違反だけどネ」

 教科書は、家でも勉強できるように毎日持ち帰って、必要なものを持ってくるルールになっているが、実際には学校のロッカーに全部置いている人は多い。
 僕は、一応持ち帰っている…が、そんなに家で教科書を使うわけではない…別の参考書とかを使って勉強する。

「まず、問題を定量的に把握しよう」
「テイリョウテキ?」

 歩さんはホワイトボードに『定量的』と書いた。

「『遠い』というような感覚的な言葉は『定性的』とされる。問題解決の優先順位を考えるには定量的に考えなくてはならないよ」
「歩さん、さすがですね…でも、この件では、具体的にはどのようなことを指すのですか?」
「つまり、例えば、遠いというのは徒歩何分くらいかかるのか、一日何往復しなくてはならないのか、教室に入れない、なら、それは一週間に何回、何分間くらい発生するのか、それぞれそれが何人に影響あるのか、と考える…そういうバックデータを揃えれば、学校側に出す提案につなげられる」
 
 歩さん…それは、今どこか会社に行っても、きっと通用しますよ。

「そして教室で男子の着替えは昭和なら、パンツさえ履いていれば黙認されていた様だが現在はアッー!という事情から、男子の半裸も卑猥な対象とされる、由々しき問題だ。」

歩さん…それは、ホモが嫌いな女なんていないんです、という業界でだけ通用する話ですよ。

僕の冷めた視線で歩さんも下らないジョークが滑った事に気付いたのか、ホワイトボードに描きかけた薔薇背景で抱きあう半裸男子の落書きを消す。
細身長身で三角顔なお兄様に背中から抱き締められてた方が、僕に似てたのは見なかった事にしよう気持ち悪い。

葵さん茜さんは何の話だろうとキョトーン顔を見合わせていた、一般的な女子高生は知らなくていいから深く考えないで下さい。

「まぁ我慢しろってのは酷な話だ、男子には悪いけど無理なモンは無理って『女』に逃げさせて貰う。」

そういうモンかと僕は解釈するしかない、歩さんも僕が男子と考慮した上で口調を弱めていた。
今時の女子中高生にとって男子の着替えは卑猥、汚物扱いという風潮だってありえる。

一見して男子隔離という誤解は出ても『男子の自由なスペースが増える』という旨なら男女平等以上の好条件。
少数男子が一方的な女子の多数決に従う事を『強いられてるんだ!』という不満の回避は重要だろう。

女子校時代の生徒会暴走にも女子として云々の発想が行き過ぎた例だってあった筈だ。

まだ男子が一年のみで人数が少ない都合、更衣室とする空き教室の確保は比較的容易、工事費の話が出ても申請するだけ無駄ではない。

「もし男子更衣室を作るなら女子への配慮だけでなく『男子への配慮』という表現も加えて下さい、それだけでイメージは全然違います。」

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