生徒会日和。 64
「…穂積くん?」
後ろから僕を呼ぶ声がして、振り返る。
「あ…」
その姿に、思わずなんと言おうか困る。
僕を呼んだのは、あの岡崎さんだった。
プールから更衣室は少し歩く。
身体をタオルで覆っているが、その下は水着のはずだ。
…つまり、あのナイスバディが。
「えっと、何か…」
「ちょっといい?お話しない?」
この水泳の授業は6時間目…今日はこれで終わり。
…しかし、いったいどこで?
「…いいけど、どこで…」
「中入っていいよ」
「ええっ!?女子更衣室でしょ?」
「大丈夫!私と、もう一人しか今はいないから!」
「もう一人って」
「穂積くんに興味があるの。いいから入ってよ」
岡崎さんに言われるがまま、女子更衣室に入ってしまった。
「あ、ホントに呼んだんだ」
もう一人、もニコッと微笑んで僕を見た。
根本姫香さん。
2組の女子の中で、一番気になってた人だ。
生徒会で一緒の茜さんと仲がよく、可愛らしいルックスに見惚れてしまうことがあった…
「あ、根本さん…」
「ふふっ、嬉しい。私の名前知ってたんだ」
「うん、まあ…」
根本さんは岡崎さんに比べたら胸は控えめかもしれないが、真夏なのに肌は透き通るくらい白くて、手足はすらっとしていて、なんだか全体的に色っぽい…
根本さんも、まだ水着姿だった。
岡崎さんは、更衣室のドアをモップの棒で抑えて開かないようにした。
何とも言えない香り…さっきまで水着を着替えた人が多かったから塩素の香り、汗の香り、ほのかな、いろいろな香水とかスプレーとかの香り…それらが混ざった香りを僕は感じていた。
「座って」
岡崎さんはその辺にある椅子を勧めた。岡崎さんも根本さんも、椅子に座った。
岡崎さんはタオルをはずして、水着姿になった。
「最近、ネットで、女子校に1人だけ実験的に入った男子が女子と一緒に着替えたりする小説を読んで…」
もしかして、僕と同じ小説を読んでいるのか??
「それで、その小説の主人公が穂積くんと似てるなぁって、姫と話してたんだ」
「向こうのほうが置かれてる環境がすごいけどね」
根本さんが付け加えるように言った。
「それ、実は僕も最近知って読んでるんだ」
「あっ、偶然だね」
それから少しの間、3人でその小説の話で盛り上がる。