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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 62

「これで勉強も頑張ってください」
「うん、頑張れる気がするよ」
「歩さんは、大学進学希望ですか?」
「うん、そだね。大学には行きたいって思ってる」
歩さんの笑顔が、少し悲しげというか、寂しげというか、なんだか心からの笑顔じゃない気がして、気になった。

「…なんかあったんですか?」
「私がこんなのだから、パパにもママにも迷惑かけてて…時々切なくなるんだ」
「ご両親と、うまくいってないとか…」
「ううん、パパもママも大好きだよ。でも…ね。パパは弁護士さんで、ママは学校の先生で、私には何も口出しとか全然しないんだけど、それが逆に私、追い込まれてるような気がして」

あぁ、歩さんのご両親って結構なエリートなのかな。
でも、歩さんに対して縛りつけたりとかはしてない感じはするな。
「歩さんは、ご兄弟はいるんですか?」
「いないよ、一人っ子なんだ」
なおさら大事に育てられたんだろうな…

「私がどんなにダメな子でも、パパもママも優しくしてくれる、パパとママが大好きな私自身を、嫌いになることはできないんだよ…」
歩さんが窓の向こうを見つめる。
「ま、自分自身の課題は自分で超えていかないといけないけどね」
歩さんは僕を見て、そう言う。

「そうですね、頑張ってください」
「うんっ」
僕が言うと、歩さんも笑顔で答えた。
今は、残念だけど、こうやって見守るしか僕には出来ない。
それでも、何とか知恵を絞って出たのが今回の参考書の話。
後は、歩さん、自分との戦いです。

「お待たせ、晩御飯できたよー」
そこに、皆さんが食事を持ってやってきた。

なんだかいい匂いがします。
「今日は奈津美さんが作ってくれたぞー」
梓さんが言う。
「奈津美さんも上手なんですね」
「お母さんが料理教室をやっててね。私も教えてもらってた」
ほう。

「じゃあみんなで食べよー」
『いただきまーす』
一番嬉しそうなの歩さんじゃないか。
うん、でも、美味しいです。

奈津美さんの手料理も、梓さんのもの同様、とても美味しかった。
「樹くん、だいぶ体調回復したねぇ」
「うん」
葵さんに言われる。
「明日からは学校に行けそうだよ」
「なら私たちの役目はこれで終わりかな」
「わざわざありがとうございました」
梓さんに頭を下げる。

一晩、皆さんと過ごし、翌日からは一緒に学校に通うのだった。

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