生徒会日和。 57
「それだったら、真希さんに教えてもらえばいいじゃないですか」
「…そうしたいところだけど、真希は『自分のことは自分でやれ』主義なところがあってだね…」
「そりゃそうですけど」
「美郷とちひろは私がダメダメなのを面白がってるふしがあるし」
…あの二人は頭よさそうだもんな。
…というか、狡賢そうだよな、あの二人。
「…まあ、今はとりあえず自分の力で頑張ってみてください」
「…うん」
「体調が回復したらですけど、もしよければ姉が使ってた参考書、探し出して歩さんにあげますよ」
「…そんなのあるの?」
「ええ、家のどこかにあるかと。姉は成績もトップだったので」
「そう、ありがと」
歩さんが微笑む。
歩さんと僕がそんな話をしていると
「お待たせしました!」
「メシができたぞー」
早紀さんと梓さんが食事を持ってきた。
「樹くんはこっちね」
熱田さんがお粥を僕にくれた。
「ありがとう」
一人だけだったら夕飯なんて取れなかっただろうから、本当にありがたい。
しかし、皆さんが食べているメニュー、かなり手が込んでいそうだ。
「それ、皆さんで作ったんですよね?」
「うん、ほとんど梓さんなんだけどね」
「すっごくお上手でしたー」
春田さんと美幸ちゃんが言う。
「へぇ…意外でした」
「あー!?樹、今馬鹿にしたなー?」
梓さんが笑顔ながら、少し不服そうな声を上げた。
「いや、普段の梓さんからは想像できないので」
「梓ちゃんってすごいんだよー」
フォローするのは早紀さん。
「調理実習とかのときは梓ちゃんがすごく頼りになるんだよ」
「へえー」
「…なんかまだ信じてなさそうだな、樹」
「い、いえ、そんなことは」
…これがギャップというものか。
「でもすごく美味しいです〜」
美幸ちゃんは幸せそうな笑顔を浮かべている。
やっぱり、梓さんの腕前ってホントなんだろうな…