生徒会日和。 56
ちょっと拭いただけでタオルが結構濡れる。
こんなに汗かいてたのか。
「熱があるときは汗をかきやすいから、こまめに服は替えるほうがいいのよ」
「そうですか」
美幸ちゃんに貰った替えのパジャマを着る。
真希さんが隣で手取り足取り手伝ってくれる。
嬉しいし、ありがたいけど、なんか介護されてるみたいだ…
「美幸ちゃん、私たちも料理のほうを手伝おうか」
「はい!」
真希さんと美幸ちゃんも部屋を出る。
残ったのは歩さんだけだ。
…というか、ここに来てから歩さん、何もしてない気が…
「歩さん」
「ん、何かな?」
「…手伝わないんですか?」
「…わ、私はみんなのまとめ役だよ!」
「…何も出来ないんですね」
「…ごめんなさい」
ガックリと項垂れる歩さん。
「みんな何かしら出来るんだよね…でも私は何もできなくて、樹くんのお見舞いには行きたいけど」
「いいですよ。話し相手がいて、ホッとします。それに、皆さんの心遣いに、ホント感謝してます」
「ありがと」
歩さんは隣で、ニコッと微笑んだ。
「どうかな?まだ熱あるかな?」
歩さんが僕に顔を近づけて、おでこ同士をくっつける。
…ち、近い、近すぎる。
「うーん、まだかなり熱いねぇ」
「朝からあまり下がってないです」
歩さんが心配そうに僕を見つめる。
「ゆっくり寝て治すしかないね」
「そうします」
「今週は私たちが樹くんの力になるからね」
「はい…でも、気をつけてくださいね?あまり近づくと、僕が皆さんに風邪をうつすことになってしまいますし」
「あぁ…私は、大丈夫じゃないかな…」
「なぜ歩さんだけ」
「ほら…馬鹿は風邪引かない、って言うじゃない…」
…はぁ
そういえば真希さんは学年トップの成績と聞いたが、歩さんの成績の話は聞いたことがないな。
「それはあくまで諺なんですけど。歩さん、もしかして、自分が馬鹿だと…」
「ええ、それは、それは言われなくても自覚しております…」
「それだけ残念なのですか」
「…この前のテスト、全教科赤点ギリギリでした」
…予想以上に残念だった。いや、残念すぎた。
赤点の危機に瀕している生徒会長って不味いですよね…