生徒会日和。 55
まあそこは、桜樹台の生徒会選挙のルールが…ね。
美幸ちゃんも可愛いから、桜樹台に入れば上位当選だってありえるかもしれない。
「私、生徒会長の柏原歩だよ」
「書記の一宮真希よ」
「副会長の曽根梓。よろしくな」
「書記の春田茜だよー」
「会計の一宮早紀です。あ、こっちがお姉ちゃんで」
「同じく会計の熱田葵です。樹くんとは同じクラスなんだ」
美幸ちゃんに自己紹介する皆さん。
「皆さんよろしくお願いしますー」
すぐにでも仲良くなれそうな雰囲気で安心した。
「美幸ちゃんのお父さんは剣道やってるのか?」
梓さんが聞いてくる。
「ええ。今はその叔父さんが道場主です」
「へぇ、そうかぁ」
「私は剣道やってないんですけどね」
美幸ちゃんは苦笑いしながらそう言う。
「まあ、それはいいんじゃないのかな?本人の希望だってあるし」
歩さんが言う。
「でも、私も樹兄さんと同じ、桜樹台に行きたいと思ってます」
『おぉー』
美幸ちゃんの言葉に、感嘆の声を上げる諸先輩方。
「樹の妹だから、素質がかなりありそうだなー」
「美幸ちゃんなら生徒会上位当選もあるでしょうねー」
「残念ねぇ、こんな有能そうな後輩と一緒に仕事できないなんて」
順に、梓さん・春田さん・真希さんの言葉。
「そ、そんなことありませんよ〜」
美幸ちゃんはそれにはタジタジだ。
―しばらく僕を囲んで会話が盛り上がった。
「…さて、そろそろ夕食の時間か」
梓さんが壁の時計を見る。
いつの間にか6時を過ぎていた。
「美幸ちゃんはここにいるの?」
「はい、樹兄さんの看病です!」
「そっか、私たちもだよ」
歩さんが言う。
帰っていいですよと言っても引き下がらないだろうからあえて何も言わないことにした。
「樹には特製のお粥を作ってやるからなー」
どうやら梓さんが料理を作るらしい。
見た目とは裏腹に、家庭的な一面があったりするのかな。
「樹くん、汗かいてない?」
「あ、はい」
「なら、パジャマ変えないとダメよ?そのまま着てると余計に酷くなるから」
真希さんにパジャマを脱がされてしまう。
「新しいの置いときますねー」
美幸ちゃんがいつの間にか替えのパジャマを持ってきていた。
さすが、出入りが多いとタンスの場所とか覚えてるもんだな。
「はい、汗拭いて」
真希さんにタオルを手渡された。