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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 43

僕の言葉に、他の皆さんは一瞬、皆沈んだ表情になってしまう。
「あ、あの…」
「樹くん、苦労してたんだね」
歩さんが言う。
「まあ、個人的なことですから…今は母さんと二人暮らしですけど困ってるわけではないですし」
皆さんには悲しい顔はさせたくない。気丈に振舞う。

…のだが
「樹くん、無理しないでね。高校に入ったら、剣道とは離れたいって思ってたんでしょ?私たちの方針で無理させちゃって、ごめんね…」
歩さんの言葉に、胸の詰まる思いがした…

「い、いえ…」
そのときは、それだけ言うのが精一杯だった。

―会議が終わる。
さっさと帰ろう、そう思ったのだが
「樹くん、ちょっと良いかしら?」
真希さんに呼び止められた。

「大丈夫?無理してない?」
「い、いえ、全然…」
まったくの嘘だった。
歩さんからあのようなことを言われて、動揺したままだった。

思わず、制服の懐に入れた脇差に手を当ててしまう。

「ちょっと歩かない?」
何気ない口調で、真希さんが誘ってきた。
「いいですけど…」

そして、僕たちは学校内、裏の庭園に来ていた。
元々が歴史のある女子校だったから、こういう風流なものがこの学校にはあちこちにある。
何気ない様子で散策する僕たち。
ふと、真希さんが口を開いた。

「樹くんと、早紀の立場って似てると思ったの」
…早紀さん
以前、早紀さんが言っていたことを思い出した。

「樹くんのお姉さんがどう思ってたかは知らないけど…私、早紀から少し離れようと思ったことがあったの」
「どういうことです?」
「桜樹台を選んだのもそのつもりのひとつ。でも、早紀は私の後を追いかけてきたの。理由を聞いたら、『お姉ちゃんのことが好きだから』って。私、今まで考えてきたことが馬鹿らしくなっちゃって…」
真希さんの声が震える。
真希さんの瞳が、心なしか潤んで見えた。

「本当はね、早紀が私のことを嫌いになっちゃうんじゃないかって恐れてたの…」
こんな真希さんの姿を見るのは初めてだった。
大人っぽくて、凛々しくて、少しセクシー?な真希さんしか見てこなかった僕にとって、それは意外で、でもそれが逆に人間的に感じた。

「私、本当は弱くて、脆くて、情けない人間なのよ…そんな私を慕ってくれる人がいるだけで…」
僕は、真希さんの言葉を遮るように、真希さんの身体を抱きしめた。
「樹くん…?」

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