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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 39

「えっ、あっ、は、はい…?」
いきなり本題に入られて混乱する朝日さん。
「はい、落ち着いて、りらーっくす」
すかさずちひろさんが朝日さんの背後に回り、両肩をポンポンと叩く。

「えっと…」
「これ、書いて入れてくれたの、菜摘ちゃんで間違いないよね?」
歩さんが朝日さんの書いた紙を手渡す。

「そ、そうですけど…」
「なんでこれを書いて入れようと思ったの?」
朝日さんは少し俯いた後、おずおずと顔を上げて話し始めた。

「私、中学の頃に苛められてて、人と接するのが不安で…毎日も楽しくなくて、辛い日々を送っていました…」
ふむ。
予想は当たったことになるのか…?

「友達も全然いなくて、誰にも相談できなくて、1年間ほとんど学校に行かなかったときもあって」
「…それは辛かったね」
早紀さんが一言漏らす。
…もしかして早紀さんも…?

「うーん…まあ、辛かったってのもあるだろうけど、自分の世界の中に塞ぎ込んじゃダメなんだよ。やっぱり、相談できるときは相談しないと」
「うん、梓の言うとおりね」
歩さんが頷く。

「菜摘ちゃんに落ち度は全くない。それは苛めた人たちの責任。でも、菜摘ちゃんも黙ってちゃダメなんだよ。もし何かあったら相談して欲しいな。私たちはいつでも待ってるから」
「は、はい…」
「ま、そんな奴桜樹台にいたら、私がぶっ飛ばしてやるけど」
梓さんが言い放つ。
「おー、その意気だわー」
ちひろさんが同調する。
…いや、それはちょっと不味いでしょ。

そんな中、歩さんが話を続ける。
「この学校に、誰か一人でも悲しい顔をする人がいたら、学校全体も暗くなっちゃうかもしれない。私は、みんなが笑顔で、楽しくいられるようにしたいから、生徒会でもそうできるよう努力してきた」
「はい…」
「私だって、以前はつらいこと経験してるんだよ。でも、こんな仲間がいたから、乗り越えることが出来たんだ。菜摘ちゃんも、勇気を出して前に進んでいってほしい」
歩さんの言葉に、美郷さんとちひろさんが頷く。

「…会長さん」
朝日さんは声を震わせた。
瞳は潤んでいて、声をやっと振り絞った。

歩さんは朝日さんの傍に近寄り、ポンと肩を叩いた。
「君は強い子だ。弱かった頃の私なら、学校になんか来ないもの」
「会長さん…私…」
「頑張れる?いつでも相談に来ても良いよ」
歩さんが天使のような優しい笑顔を見せる。
「はい!」
震える声ながら、しっかりと返事した朝日さんに、歩さんは優しく頭を撫でた。

―こうして、悩める一人の生徒を、生徒会長は見事に救ったのだ。

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