PiPi's World 投稿小説

生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 33
 35
の最後へ

生徒会日和。 35

「まあ、年一回の義務みたいなものとして割り切るしかないかと」
「樹くんはドライだねぇ」
「…いかにも運動できます、って顔だもんなぁ」
「男子剣道部のエースだからね」
…美郷さんのネットワーク、恐るべし。

渋る先輩方を何とか説得して次の議題に行きましょう。

『毎日がつらいです。会長さんは、なんだか人生楽しそうだなって思います。どうしたら、、私ももっと学校生活を楽しめるようになれるでしょうか』


「ねえ、樹くん、その紙、名前は書いてある?」
歩さんが真剣な表情で尋ねてくる。

この目安箱への投書は記名でも匿名でもどちらでもOK。
僕はもう一度紙に目を通し、上から下まで読み通す。

「『1年C組 朝日菜摘』」
「C組…」
春田さんと熱田さんが呟く。

この学校は合計6クラス、体育の授業は3クラスずつ合同で行う。
熱田さんと僕はA組、春田さんがB組、そしてこの朝日さんという方がC組。
「葵ちゃん、茜ちゃん、知ってる?」
歩さんが二人に尋ねる。

「い、いえ、全然…」
「名前を聞いても、顔が出てきませんね…」
二人とも首を横に振る。

「まあ、こうやって悩んでる子って、大抵クラスで目立たない子だからねぇ」
ちひろさんが言う。
「でも、放っておけないよ…明日、彼女に直接話を聞きたいわね」
歩さんは真剣な眼差しで言う。

…今日の会議はこれで終わり、解散となった。


―翌日。
いつものように登校してきた僕は、C組の前を通ったときに昨日のことを思い出す。
「(朝日さんか)」
彼女の顔を見ることが出来ないかと目を凝らしてみる。

「ん」
窓際の席の一番後ろで、ずっと校庭のほうを見ている女の子がいる。
黒髪のショートカット。
…その雰囲気で、その人が例の朝日菜摘さんだと感じた。

「(…寂しそうな顔だな)」
遠目から見ても、それは十分わかった。
あの投書の内容にも頷ける。
手前で楽しそうに談笑するほかの生徒とのコントラストには、少し切なくなった。

「おはよう、樹くん」
「ああ、おはよ」
後ろから熱田さんが声をかけてきた。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す