生徒会日和。 4
「ほとんど毎日ここに来るんですか?」
「うん、皆集まるよ」
「特に議題がなくても、と聞いたんですが」
「うん、集まって皆でお喋りして終わり」
「…それでいいんですか」
「それがいいんだよ。皆で集まって、楽しくすれば、それで。学校生活を取り仕切る私たちが毎日楽しく出来れば、自然と他の皆も楽しくなる、なれるというか」
「はあ…」
「真面目にお固く行こうという概念は捨てるんだぞぅ、君ぃ」
そう言って会長さんはニコリと微笑む。
なるほど…
それはそれでいいのかもしれない。
昨日はいきなり役員にされ(半ば脅され)不安なところもあったが、その思いはずいぶんと和らいだ。
―ふと、後ろを振り向くと、冷蔵庫と、その上に電気式のポットがあることに気づく。
「こんなの持ってきたんですか?」
「ポットは先々代の、冷蔵庫は先代の会長提供だよ」
「…やりたい放題ですね」
「冷蔵庫にはいろいろ飲み物入ってるから。ちょうどいいや、オレンジジュース一杯入れてよ」
「あー、はい」
隣の棚にはいくつかのコップやマグカップがある。
その中に『会長専用』というテプラの貼られたグラスを発見。
「…こんなのまであるんですか」
「いいでしょ♪」
冷蔵庫からオレンジジュースのパックを取り、グラスに注ぐ。
「どうぞ」
「ありがとー♪」
年上なのに、可愛らしい会長さんだ。
「穂積くんも好きなの飲んでいいよー」
「え、そうですか」
そう言われたので僕もオレンジジュースを一杯貰おうと思う。
コップは…冷蔵庫の上にちょこんと紙コップの袋が置かれていた。
それにジュースを注ぐ。
「穂積くんもマイグラスを持ってくるといいよ」
「ですかね」
長机に向かい合ってお互いにジュースを飲む。
「そういえば、葵ちゃんは?同じクラスだったよね?」
「彼女も、用事があって、遅れてくるみたいで」
「へえ…梓や早紀ちゃんや茜ちゃんもいないし、重なるときは重なるのね…」
―そこに
「ちーっす」
「遅くなりましたー」
「待たせたわね」
残りの生徒会メンバーがやってきた。
「皆集まったわね」
会長さんが早速、会議を始めようとする。
「…っと、ところで梓、それはなんで…」
会長さんが不思議そうな顔で梓さんを見る。
それも無理はない。
梓さんは、金属バットを持っていたからだ。
「あ、あー、これか…」
「他校の不良が乗り込んできたのね!?」
「いや、そういうわけじゃ…」