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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 226

歩さんの目は真っ赤だった。
あの答辞の後もずっと泣いていて、最後の退場の際は真希さんと美郷さんに支えられるようにして出ていたし、その後はここに駆け込んで僕が来るまで一人で泣いていたのかもしれない。

「ここに来るのも、多分最後」
「はい」
「まあまたこっそり来たりするかもだけど」

歩さんは僕の胸元にしな垂れかかって囁いた。

「樹………大好き」

 「歩さん、僕も、大好きです」
 「敬語は、やめよう」
 「…歩、大好き」

 僕はそう言って歩さんを抱きしめた。
 歩さんの、すすり泣くような息遣いを全身で受け止める。そんな息遣いもだんだんと落ち着き、歩さんは顔を僕の胸から離し、僕の目を見上げ、そしてキスした。
歩さんの中ではいろいろな感情が混ざって大変なことになっているようだ。
このままでは過呼吸になってしまうのでは、と心配になる。
キスを途中でやめ、歩さんの頭を優しく撫でる。

「一旦落ち着こう。呼吸を整えて」
「う、あう………ふう」

 僕は少しの間再び歩さんを抱きしめたあと、歩さんを椅子に座らせ、僕も隣に座った。
 「ここで、樹と、いろんなことあったね…初めて樹がここに来たとき…遠い昔みたいで、ついこないだみたいで…」
 「何で呼ばれたのか、って、思いました、いえ、思った」
歩さんはようやく落ち着いたような顔をして、話し始めた。

「あの当時は男子の優良推薦枠は、生徒全体にはなるべく秘密にして、と言われててね。だから樹にも突然呼び出す形になっちゃった。それに、真希が樹のお姉さんのこととかを持ち出して半ば脅すみたいな風になっちゃったね。あの時はどこかで謝ろうと思ってた」
「今となってはいい思い出だよ」
「お姉さん、元気?」
「わからない。でも、何も話がない、ってことは、きっと元気なんじゃないかな」

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