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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 224

「その時は、1年生は私だけだった。何をやるにも初めてで、アタフタしてばかりの私を支えてくれて、手伝ってくれたのは、先輩の皆さんだった。とても頼りになって、こんな私にはもったいないくらいの」

しっかりとした言葉、その間に、時折鼻を啜るような音。

「2年生の春に真希が生徒会に加わって、その時はクラスが違ったんだけどそこからよく喋るようになった。だんだん仕事にも慣れて、楽しいと思えるようになった。そして……私は次の選挙で生徒会長に選ばれた」

 「生徒会長になった私、なんて想像していなかったけど、それでも、真希や、その時に加わった梓や早希、そして何より全校のみなさんが、支えてくれた。そして、決まっていた、次の年度からの共学化へのいろいろなことに、取り組んでいった」
しっかり言葉を紡ぐ歩さん。しかし言葉の節々で止まり、鼻を啜ったり、そんな音をマイクがつかむ。声はまだ震えたまま。

「生徒会に推薦枠を採用すると決めたけど、どんな子が来るのか正直すごく不安だった。でも、結果的には、それはすごくよかったことだと、今では思ってるんだ」

「だから、樹くんにはすごく感謝してる」

まさか自分の名前が出てくるなんて…予想外だった。
しかしそのあとで、さらに予想外なことが起こる。

壇上の歩さんが俯き、不自然に長い沈黙が訪れる。

 ひそひそと話し声がまわりから聞こえる。
 ステージの下の右の方では、梓さんがステージ上に駆け上がろうとしているのを真希さんが止めているのが見えた。
 そして、歩さんは、顔を抑えて、机に伏せたようになり、明らかにすすり泣き始めた。

 僕も、前の梓さんのように駆け寄りたい衝動に一瞬駆られた。でも、できる状況じゃない。
 “がんばれ、がんばれ…“
 僕は心の中で必死に歩さんに呼びかけた。
すすり泣くどころではなかった。マイクを通じて、歩さんの嗚咽がはっきり聞こえてくる。
今すぐにでも駆け寄りたい…しかしそういうわけにはいかない。
今はただ、ひたすら祈り、歩さん自身が…


「………こんな、しあわせな、時間が、もう、終わっちゃうのは………イヤ、だけど、でも…………」

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