生徒会日和。 217
「はい、出来たよ。その…上手く出来てるか分からないけど…」
「ありがとう、歩。大丈夫、ちゃんと出来てる。」
「良かった♪でも…」
何故か歩さんは浮かない顔をして呟く。
「でも、本当は…もっと前から、やらなきゃいけなかったんだよね…」
「…」
部屋の中が沈黙に包まれる。
歩さんの表情はどこか浮かない。
「まさか…歩…」
「それはない。もしそうなら先に樹に言ってる」
「じゃあ、いったい…」
「私も樹のことが好きで、樹が欲しくてそのまましちゃった…でも、それってどうなのかなぁって…」
僕は歩さんの話を黙って聴く。
「前にママに言われたでしょ、『あなた達はまだ子供』って
。あの時はどういう事か分からなかったけど…」
「うん。」
「今なら分かる。『好きだから』『気持ちよくなりたいから』だけじゃ…ダメだって。」
僕も今はわかる。
今までの歩さんと僕は子供だったのだと。
「私も大学生になって、来年には二十歳になる…いつまでも子供の気持ちのままじゃダメなんだって」
「うん」
その言葉に頷く。
「でも…樹のことは大好き」
歩さんは僕に向かってはっきりと告げる。
「だから…抱いて。ヤリたいからじゃなく、愛しあうために。私たちの、これからのために。」
歩さんの想いをきちんと受け止め、僕は歩さんを静かに抱きしめる。
「わかった…だから、おいで。歩。」