生徒会日和。 212
「なんかまだ実感が湧きませんけどね」
「それってどういうこと?」
歩さんは結構その言葉に酔うタイプだからなぁ。
でもその笑顔はようやく重圧から解放されたこともあってとても清々しいものだった。
窓から差す夕日の明かりが弱くなり、部屋も少し暗くなってきた。
「樹…」
「何?」
歩さんが僕の肩にもたれかかってくる。
「ありがとう…私のそばにいてくれて」
歩さんの髪を指で鋤きながら、僕は歩さんの言葉に耳を傾ける。
「樹のおかげで私は変われた。勉強も出来る様になったし、自分に自信が持てるようにもなったし、何より誰かを愛する事を教えてくれた…」
「ありがとう。でもね」
歩さんの髪を優しく撫でながら僕もそれに返す。
「僕も歩にお礼を言いたい。僕も歩に会わなかったら、ずっと迷ってばかりだったから。今の僕があるのは、歩のおかげだよ」
「樹…」
歩さんがこちらを向く。
瞳が潤んでいる。
お互い自然に顔が近づき、唇が重なる。
初めは軽く、段々と舌を絡め合う。
外は日没を迎え、西日が差し込んでいた部屋にも闇が訪れる。
それでも僕らは互いを求めあった。
「歩…」
「樹、来て」
暗闇のまま、お互いに制服を脱ぎさり、ベッドへと向かう。
下着姿になった歩さんが先にベッドに寝転がり、僕がその上から覆い被さる。
「樹…」
僕も上半身は半袖シャツ一枚だ。少し肌寒い感じはした。
「エアコンつける?」
「ううん、樹と一緒なら、あったかくなれるからいいよ」
歩さんは僕の背中に手を回す。