生徒会日和。 203
こうやって呼ばれて、人気のないところに来たということは、そうなんだと薄々思っていた。
歩さんしか見えていなかった最近の僕を猛省するほかない。
「樹くんには会長さんがいる…でもね…」
「ごめん…歩、さんは…でも、蜜恵さんのことが嫌いとか、そういうことは決してない。みんな好きなんだ…」
「わかってる。樹くんのそういう、優しいところ、全部わかってるんだ…」
蜜恵さんは、笑顔だった。
…でも、どこか悲しそうな、泣き出しそうな顔だった。
「ごめん、蜜恵さん…」
「…!!」
蜜恵さんの身体を抱きしめた。
柔らかい胸が、密着して僕の身体に当たる。でも、今はそんなことどうでもよかった。
「樹くん…」
蜜恵さんの掠れる声が耳元で響き、吐息がかかる。
「樹くん…ありがと。無理させてごめんね…」
「ううん、僕のことなんか…蜜恵さんにもすごく悪いと思った…こんな男で、正直どうしようもなくて、失望させて…」
「そんなことない。樹くんが会長さんのことを大切に思っているのは私にもよくわかったから」
蜜恵さんはニコリと微笑む。
その瞳の端から一筋の涙が見えた。
「でも、これで僕と蜜恵さんの関係が終わるわけじゃないから」
「うん、これからもよろしくね」
恋人同士になるかは…わからない。でも限りなくゼロに近いのかもしれない。
でも、蜜恵さんは僕の大切な人だ。
「これからも、ずっと、友達として」
蜜恵さんは言う。
「うん…」
こんなに可愛らしい人なのだから。
蜜恵さんとお互い抱きしめあっているうちに次の授業の時間を迎える。
歩さんからの連絡はまだ来ない。
「そろそろ…」
「次って、体育だよね?私たちのクラスって合同だから」
「だから?」
「…会長さんには秘密…今から、2人で、イイことしよう?」
蜜恵さんは豊かな胸を押し付けてそう言う。