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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 186

そんな風に喜んでる歩さんがとても可愛らしい。
時間もあまりないし、できることといえば商店街をブラブラするくらいだろうけど、今の歩さんには受験のストレスを解消するいいときなんだろう。

「いくよっ、樹」
「はいはい」
「はいは一回でいいのっ」
そう言いながら歩さんは僕の手を握る。

僕もその手を握り返す。
歩さん、いい笑顔だ。
さっきまで受験という重圧と戦っていたんだ、その疲れを見せない強さがこの人にはあるんだと思う。

「歩、疲れてない?」
「なんで?ぜんぜん平気!」
…やっぱり。歩さんはこういう人なんだ。

歩さんは僕の手を引いて、グイグイ引っ張るように歩き出した。

歩さんはいつもの歩さんだ。よかった。
ここ数日は会うのを僕のほうから控えていたのだが、何も変わった様子はないので安心した。
…いや、受験が終わったからこそいつもの歩さんに戻ったんだな。

「もう、樹、メールのひとつくらいくれてもいいのに」
「歩の勉強中に邪魔したらいけないと思って」
「私は構わなかったのに。樹だったら大歓迎だよ」

ニコリと微笑む歩さん。
口調が不機嫌だったのでちょっと焦ったが、その顔はそうでもなかったので安心する。

「ずっと勉強してたんでしょう」
「うん、でも息抜きは欲しいんだよ、息抜きは」
…大事なことなのですか、2回も言うとは。

「合格したら樹と遊び放題だよ」
「…僕の学力は無視ですか」
「樹は何もやらなくたって満点取れるレベルなんでしょ?葵ちゃんが言ってたよ」

「何もやらなくても満点は言い過ぎでしょう」
葵さん、それはちょっとない。
「でも、私は樹が羨ましいと思うんだ」
「はあ」

そのままブラブラと商店街を歩く。
歩さんは握った手をなかなか離さない。
まあ、久しぶりだししょうがないか。

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