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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 185

その日、僕は部活を軽めのトレーニングだけで切り上げ、一人早めに上がって帰宅する。

「穂積は大事な案件があるだろう、今日は早めに上がれ」
…なんて河原田先輩までもが余計な気を使ってくれるというのもなんだかなぁ、と思うが
「樹くんには練習よりそっちが大事でしょ」
誉先輩に背中を押され、今ここまで、という具合だ。

もちろんまっすぐ帰宅するわけがなく、今僕はある駅の改札の前である人の帰りを待っている。

そう、受験を終えたであろう歩さんの。

ここまで来たら、後は見守るしか出来ないし、受験が終わったら合格を祈ることくらいしかない。
今はただ、重大な局面をひとつ終えた歩さんを労いたくて、ここにやってきた。
ここ数日は歩さんに集中してもらうために、会うのを控えていたくらいだ。

帰宅ラッシュの時間にはまだ早い。
乗り降りする客の数もまだ疎らだ。
人を待っているのなんて僕しかいない。
時刻表と自販機にはさまれた小さな待合所で、僕は歩さんの帰りを待っていた。

やがて日は西に傾き、空はオレンジ色に変わる。
ホームに電車が到着し、それまでの静けさが嘘のように人であふれかえる。
これから帰宅ラッシュの時間だ。

改札を行きかう人の数も多くなる。
その中に、僕が待っていた人の姿も見えた。

「歩!」
声をかけるとその人はびっくりしてこちらを振り向く。
「樹…」
「お疲れ様」

歩さん、まさか僕がここまで迎えにくるとは思っていなかったのだろう。
思わず笑いたくなるような驚きの顔を見せている。

「樹、ありがと!」
それでもすぐに笑顔になって、僕に向かってダッシュしてきた。
体当たりしそうになるのを押さえ、抱きしめてしまった。

「どうだった?」
「うん、私の中では完璧」
「それならよかった」
僕の胸に飛び込んだ歩さん、その頭を優しく撫でる。

「樹、迎えに来てくれたのは嬉しいけどさ、剣道部の練習はよかったの?」
「うん、今日は特別」
「新しい部長の子って怖いって噂じゃん」
ああ、河原田先輩のことね。
歩さんからしたら後輩だけど身長ははるかに高いし怖いってのは失礼ながらあるかもねぇ…

「それも大丈夫」
「じゃあ、今日は久しぶりにデートだぁ♪」

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