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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 178

「早紀さん?」
「会長さんが受験でお休みで、ちょっと寂しいんでしょ」
「まあ…」
否定はしない。早紀さんだって歩さんと僕の関係は知っているのだから。

「真希さんは来てるんですか?」
「うん、今日はね」
真希さんは歩さんよりも先に進路が決まっている。
夏休みに海で聞いた…県外の大学だ。

「早紀さんは、寂しい気持ちとかないですか?」
「私?」
「真希さんとは、あと数ヶ月すると、なかなか会えなくなってしまうでしょうから」
「うん、そうだね」

早紀さんは一度頷いたあと、しばらく考え込むようなふりをする。

「寂しい…うん、確かに寂しいよ。大好きなお姉ちゃんだからね」

早紀さんは僕の隣に座り込む。

「最初に、お姉ちゃんから県外の大学に行くって聞いたときは、ショックだったな」
「でしょうね」
「それで、素直に『寂しい』って事をお姉ちゃんに言ったら、なんて言ったと思う?」
「…?」

その答えを思い描いてみる。
おそらくそのときの早紀さんの思いとは、まったく逆の応えに違いない。

「私がいなくなるのを寂しがるようじゃダメ、とかですかね」
「さすが樹くんだね」

早紀さんは真希さん同様に長く艶のある黒髪を風に靡かせ、かき上げる。

「私からの呪縛から逃れられるのよ、今からこそ自由にノビノビやりなさいって」
「呪縛ですか」
「すごい表現だよね。私も言われたときはビックリしたよ」

でも真希さんらしいと言えばらしい。
優秀な姉の下でプレッシャーに苦しんでいた妹を解放させる、そのための言葉なのだろう。

「いいお姉さんですね」
「そうだね。私にはもったいないくらいのね」
早紀さんは笑う。
悩みからもプレッシャーからも解放された清々しいものを感じる。

「あとひとつ、お姉ちゃんから言われたこと」
「なんです?」
「来年の生徒会を引っ張るのは早紀の役目だって」

真希さん、可愛い妹だからこそ、早紀さんには頑張って欲しいって思ってるんだな。

「私が来年も役員を続けるなら、樹くんにも続けてもらうよ、ってね」
「選挙で支持されればですよ」

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