生徒会日和。 158
歩さんと一緒に階段を下り1階に。
すぐに歩さんは洗面所に駆け込んだ。
僕はひとりリビングに向かう。
歩さんのお母さんはテーブルにお菓子を用意し、お茶を入れていた。
僕を見てニコニコしている歩さんのお母さん。
何をしていたかばれているのがちょっと恥ずかしい。
「あら、樹くん…だったかしら。部屋に持って行こうかと思っていたのに、二人とも降りてきちゃったのね。」
「あ、あの…」
なかなか次の言葉が出てこない。
「とにかく、立ちっぱなしもなんだから座りなさいな。歩もすぐに来るでしょうし♪」
相変わらずニコニコしている歩さんのお母さんに促され、僕は椅子に腰掛ける。
程無くして、歩さんもリビングにやってきた。
「ほらほら、歩も彼の隣に座らなきゃ」
「う…うん」
「…」
「…」
「…」
お互いに何だか気まずく、前に置かれたお茶にもお菓子にも手をつけられない。
「うふふ、初々しいわねぇ」
そんな僕らをよそに、歩さんのお母さんは余裕の笑顔。
「私にもこういう時代があったのよねぇ、なんだか懐かしいわ…歳を取った証拠かしら」
「い、いえ、そんな…」
歳をとったとか、そんなわけがない。
このお母さん、若々しい。歩さんと並んだら母娘というより姉妹だ。
「ごめんなさいね、食欲なかったかしら」
「そ、そんなことない、です、お母さん」
「あ、柏原希ね。希って呼んでくれればいいわよ」
「い、いや、あの」
「そんなに改まらなくてもいいのよー。将来は家族になるかも知れないんだから♪」
「ち、ちょっ…ママっ」
「あら?違ったの?樹くんみたいな男の子、歩の旦那さまにピッタリだと思うんだけどなー。私、全力で応援するわよー」
お母さん…希さんは相変わらずニコニコしながら僕と歩さんを交互に見て、お茶を飲む。
「樹くんは何年生?」
「あ、ええと、一年です」
「そっか、じゃあ桜樹台の初年度の男子なのね」
「はい…」
「ふふっ、緊張することないのよ」