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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 128

「んしょっと」
「あー、大丈夫です?僕も持ちますよ」
「あ、ありがと、樹くん」
折りたたんだ長机を持ち運ぶ。
小柄な上に怪我人の歩さんに無理をさせるわけには行かない。

…でも、歩さんはやはり偉大な人だと、改めて感じた。
責任感は人一倍強い、自分の状況を気にすることなく皆を引っ張る…人気投票というのはあるけれども生徒会役員を1年のころから務めてきた人だけある。

「ありがとう、お疲れ様!」
後片付けも難なく終了し、歩さんは笑顔で皆に声をかけた。

指揮役の先生たちが去り、手伝いの生徒たちもほとんどいなくなって人も疎らになった。

「お疲れ様、樹くん」
「歩さんこそ、お疲れ様です」
ようやく、歩さんと話が出来るのだ。

「よかった…ホントによかった」
「ええ」
満足したような笑顔を見せる歩さん。

どちらから提案したわけでもなく、僕らは並んで校舎を散歩する。
空は秋晴れの夕暮れ。非常に気持ちいい。

歩いている途中にあった自販機でジュースを買う。
歩さんは財布を持っていなかったようで、僕の奢りになってしまったけど。

「ありがとね、樹くん」
「いえいえ」
2人で並んで、壁にもたれてジュースを飲む。

「樹くんは楽しかった?」
「ええ、もちろん」
「そっか、それならよかった。私も、3年間で一番楽しかったよ」
笑顔の歩さん。
この人は毎日が楽しそうだけど、今はひときわそれが表れているように見える。

「あの、歩さん」
「ん?」
「よかったら、来週の文化祭、一緒に回りません?」

ふと、頭に浮かんだ。
これを切り口に、歩さんと、さらに距離を縮めて、いずれは…

「うん、いいよ」
「ありがとうございます」
「ふふふ…これって、デートのお誘い?」
「…まあ、考えるのは自由です」
「楽しみにしてるね♪」

…これが決心への第一歩である。
隣で無邪気に微笑む可愛い先輩…その顔を出来れば長く見ていたいから。

日が沈む前に歩さんと別れ、僕も帰路についたのだった。

『すべてがうまくいきますように』
忍ばせている脇差に手を当て、そう祈る。


…一週間後、その文化祭を迎える。

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