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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 125

翌日、放課後は剣道部の稽古だ。
このときばかりは集中しないといけないのだが、昨日のことが頭の中をぐるぐる回っていてしょうがない。
…人生でこんなの初めてだからどうすればいいのかもわからない。

いったん休憩。
こんな体たらくでは、稽古にも身が入らない。

「穂積…今日はどうしたんだ?いつものお前らしくない」
「!?」
背後からハスキーな声が響く。あまり聞いたことのない声。

「か、河原田先輩…」
剣道部の新部長・河原田怜奈先輩。
普段は無口でストイックな人で、僕もあまり話した記憶がない。

「いつものお前らしくないな…何か悩み事か?」
その口元は、明らかに緩んでいた。

ああ、この人でもこういう顔するんだな。
恥ずかしながらしばらくの間ボーっと河原田先輩の顔を見つめているだけだった。

「どうした?私からは何も出ないぞ?」
「す、すいません」
ある意味亜里沙さんより近寄りがたいと思っていた人だが、実はそうでもないのかも。
(その亜里沙さんは相変わらずこの時間も稽古の真っ最中。相手は言わずもがな)

「今日はここらで切り上げて散歩しながら話でもしようか」
「え、あ、はあ、はい」
河原田先輩がここまで気遣い出来る方なのにも驚くが、その背後でとても人間業じゃないようなのが飛び交っているのはもっと…

「あ、あの…」
「…蟹江もアイツもいつもの通りだ。気にすることはない」
「は、はい」
「胴着を脱いで、着替えて支度しよう」

先輩に言われて、胴着から制服に着替える。
ちょっと、これから何が起こるのか、僕にはよくわからなかった。

…着替えたら、先輩と一緒に校舎内を歩く。
いつだったか、真希さんと一緒にいたルートに近い。

「…」
「どうした?穂積」
「え、あ、いや…」
こんなに楽しそうな河原田先輩、見たことない。というか想像できない。夢じゃないかと錯覚しそうだ。
だが、これは紛れもなく現実なのだ。

「いえ、先輩、楽しそうだなって」
「何も今に限ったことじゃないぞ。私は毎日楽しいくらいだ」

…容姿性格はまったく対だが、河原田先輩は歩さんと通ずるものがありそうだ。

「じゃあ何だ、穂積は楽しくないとでも言うのか?」
「い、いえ、そういうことじゃないですけど」

先輩の顔は笑っていた。

「さっきも聞いたが、悩み事があるんだろう?はっきり言ってみるといい」
「は、はい…」
そう言われたらこれ以上隠すことは出来ない。
僕は河原田先輩に、その『悩み事』を素直に話した。

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