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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 123

突然の登場に驚きと戸惑いを隠せない。
あれ以来、いつも頭の片隅で歩さんのことは考えていたからなおさら…

「ふふふ、どうしたの?鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」
「い、いえ、そんな…」
「別に2人きりなんて今まででもあったじゃない」
「は、はい…」

ダメだ。なんか直視できない。

「樹くんって、剣道やる前は野球もやってたでしょ?」
「…知ってたんですか?」

「同じ生徒会役員だもの、それくらいのデータは持ってるよ。用意してくれたのは美郷だけど」
…そこでまた暗躍している美郷さん。どこまで絡んでるんだ。

「ええ…まあ、そうですけど」
「伯父さんが元プロ野球選手だってね」
「僕もよく知らないんですけどね」

歩さんは腕組みして、何かを考える。
小柄で小学生みたいな見た目だけど、こういうときの姿はカッコいい。

「私の代じゃ結局どうにもならないのかな…共学になって、確かに変わったしいいこともいっぱいあったけど、思い描いた理想とは違ったところもあった」
「それは仕方ないですって」
「みんなに迷惑かけたんじゃない?一人だけ突っ走って、いつも空回りでさ、ホントは会長やらなきゃよかったって思うことだってあったし…」

歩さんの声が震えていくのがわかった。
「樹くんも勝手に役員にしちゃって…」
「歩さんっ!」

歩さんは見た目以上、僕が想像していた以上に小さく見えた。
僕に何が出来るかわからないけれど、抱きしめたい包み込んでやりたい、両手を差し伸べた刹那。

ガチャッ!ガコンガコン!

唐突でいささか乱暴な物音に、僕と歩さんは『わひゃっ?』と間抜けた悲鳴を上げながら、互いの身体にしがみついた。
それから二人しておそるおそる物音の方、屋上のドアに注意を向けてみる。

『鍵が掛かっているぞ、祐一郎。』
『先客がいるんだろ、仕方ない。』

逢い引きだか決闘だか知ったこっちゃないけど、声の主は亜里沙さんと祐くんだった。

『なら体育館裏の竹林にしておこう。』
『へいへい、お姫様の仰せの通りに。』

亜里沙さんはゴホンゲフンしに行くともチャンバラしに行くとも取れる場所を指定、祐くんは相変わらずの軽口だがどこか従順だ。
何となし祐くんが尻に敷かれ気味なのを除けば、二人は腹を割って付き合える仲なのだろう、それこそ正々堂々と肩を並べてだ。

「にゃはは…鍵掛けといて正解だったにゃー。」
「歩さん…息くすぐったい…。」

突然のハプニングが一周して、歩さんは僕の腕の中で少し落ち着いた様だ。

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