生徒会日和。 102
―色鮮やかな花火は、数十分に渡り続いた。
その間、言葉を発することなく、僕らは花火に見惚れていた。
ここに来てよかった。素直にそう思った。
花火が終わり
「さて、今日は楽しかったなぁ」
歩さんが背伸びして言う。
「あ、歩さん、例のブツ用意しときましたよ」
「おー、茜ちゃん、ありがとう!」
…歩さんと茜さんの不思議なやり取り。
「例のブツって?」
「いや、歩さんがね、せっかく生徒会全員も集まるんだからここでバンドの練習できないかって夏休み前に言ってたから」
…おお、バンドか。
そういえば生徒会の皆さん(僕を除く)は軽音部でもあったな。
「やー、茜ちゃん、ありがとう」
「いえいえ」
「…でもさ、誰も楽器持って来てないと思うんだ、ごめんよ」
「それも問題ないですよ」
「え?」
「一応一式ここにあるんですよ。皆さんが普段愛用されてるのとは違うので、フィットしないかもしれませんが」
「うわー、それでもありがたいよ」
どうやら明日は軽音部としての練習がメインになりそうだ。
僕以外の生徒会メンバーはいいとして、姫さんや蜜恵さん、小坂井姉妹は何か出来るのだろうか。
あ、亜里沙さん…おそらくここの女子で最もこういうことには縁遠そうだから…言及は避けよう。
「さ、もう時間も時間だし、お風呂入ってね」
あやせさんが言う。
後ろのほうで真希さんが小坂井姉妹に何かを言伝している。
…僕のほうを見ながら。
…何かがありそうな予感が。
「樹くん、先にお風呂いいわよ」
真希さんが言う。
「はあ、いいんですか?」
「私たちは後でゆっくり入るわ」
…とか言いつつ歩さんとげふんげふん。
…何があるか知りませんが一番風呂は気分がいいので脱衣所で服を脱ぎ、腰にタオルを巻いてお風呂へ。
広いなぁ。さすがお嬢様茜さんの別荘だ。
ガラガラガラ
僕が入って間もなく、誰かが入ってくる…っておい。
「じゃあああ〜ん!!!」
「樹くんとお風呂だイエーイ!!!」
…小坂井姉妹が入ってきやがりました。
「なぜ入ってきたし」
「これが真希パイセンの言う私らへの救済なんだよーん」
「一緒の部屋になれない代わりに、樹くんと一緒の入浴権をゲットいたしましたぁ!」
「そ、そう…」