生徒会日和。 101
そこへ梓さんは何の躊躇いもなく火に油をそそぐ。
「樹くんが剣道部入る前にね?亜里沙ちゃんアイツに負けてる訳よ?」
「…ギギギギギ…」
「アイツ空手方面だけど一応有段者だから、元彼のよしみで頭数合わせに連れてった訳さね。」
「…ラララララ…」
梓さんもう止めて下さい亜里沙さんが○だしのゲンみたいになってます。
それと何かすごく気になる事言われた気がするんですけど。
「亜里沙ちゃんガチの指折りや金的狙いどころか、組み討ちまでアッサリかわされて…。」
「…くやしいのう…くやしいのう…。」
あのそれってもう高校生の剣道じゃありませんよ、シ○ルイ通り越して『こいつキ○ガイか?』ですよ。
あと梓さん何かこう話の流れ的にサラッと、祐くんを元彼だとか言いませんでしたか?
あれか、深く突っ込んだら負けか。負けなのか。
「あの禿が梓さんと?あーりーえーなーいー」
姫さんが一人ごちる。
…その言い方も正直どうかと。
さてこの辺でやり過ごすか、そう思ったとき
「ユーイチロー、遅くなってゴメンネ」
「おう、ディディエ、来てくれたのか!」
祐くんの前にぬぼっと大柄な黒人の男が現れた。
ディディエ・トゥーレ。
『KARATE同好会』のメンバーで、コートジボワールからの留学生らしい。
以前祐くんに紹介されたが、その名前で空手…いやKARATEって名前負けじゃん…サッカーやんないのかよ、って突っ込みたくなった…
「あの、あなたはコートジボワールから、来たんだよね」
「ソウ」
小坂井(妹)が、屈託なく尋ねた。
「サッカー強い国、ということは判るんけど、どこにあるの?南アメリカ?」
その言葉にはディディエはかなり落胆した。
彼はポケットからメモを取り出し、アフリカ大陸の略図を書いて「このヘン」と言った。
「アフリカ ナンダ」
僕は、コートジボワールはフランス語で「象牙海岸」という意味であることなどを説明した。
「じゃあ、フランス語できるの」
「ボンジュール、メルシー、ジュテーム」
怪しい。が、コートジボワールの公用語はフランス語のはず。海外留学までするような奴だから流暢に話せると考えるのが普通だから、たぶん受け狙いなのだろう。
…さて、祐くんに相方?がやってきたところで、僕らはそろそろ退散しようか。
「美味しかったよ〜」
歩さん…貴女の胃はどういう構造しているんですか。
「もういい時間だし、戻りましょうか」
真希さんの言葉に従い、僕らは別荘に戻る。
小高い丘の別荘に戻ると、ちょうどいいタイミングで花火が打ちあがる。
「うわぁ、綺麗!」
蜜恵さんが声を上げる。
「夏祭りの花火が、いいロケーションで見れることを知ったのは、私でもつい最近だったり」
茜さんが言う。
「小さい頃は毎年見てたのにね」
あやせさんが突っ込むと、茜さんは照れ隠しにニヤニヤ笑う。