腕輪 61
そうこうしている内に鈴香は注射器に液体を注入していく。
注射器から液体がピュっと飛び、美奈子はゾクっとした。
「さあ、始めましょうか。ちょっと痛いけど我慢してね」
鈴香がゆっくりと美奈子達に近いて行く。
大きく張り出た爆乳が揺れ、まるで美奈子を挑発してるかのようだ。
「嫌っ! 離して!」
「ほら、動かないの」
美奈子は最後の抵抗を見せるも、あっさりと愛美に阻まれてしまう。
自分でこの道に進んでしまったとはいえ、まさかこんな事になるとは思わなかった美奈子。
目から涙を流し、今さら後悔しても後の祭りである。
鈴香が美奈子の目の前まで来ると、横の方から声が聞こえてきた。
「あ、あの…お母様」
声の主は雪乃だった。
だが、声はどこか寂しげだった。
「ん? どうしたの、雪乃?」
「あ、あの…もしよろしければ、その…終わった後でいいので、わ、私にもしてもらっても…いいですか?」
雪乃の申し出に鈴香は、
「ええ、いいわよ。そうだわ!雪乃、あなたが最初になさい。あの家畜に見せつけてやのよ」
「は、はい!」
雪乃の申し出を快く承諾した鈴香。しかしこれを不快に思う者がいた、美奈子である。
「ちょっと!なんでアンタがするのよ」
「煩い、貴方には関係ないでしょ、家畜」
「なっ!……」
別に深い意味はなかった。
ただ自分より小さい子が薬を打たれようとしていたから、止めたかっただけだ。
だが結果は、「余計なお世話よ」という感じで見下された。
悔しかった。
そう思いつつ、美奈子はキッと雪乃を睨み返した。
一方雪乃はというと、内心ホッとしていた。
断られたらどうしようかと焦っていたのだ。
原因は琴音だ。
最近になって胸がまた大きくなり、明伸に可愛がられる事が多くなったからだ。
もちろん琴音に薬の投与がされていることは雪乃も知っている。
だから自分も胸が大きくなれば明伸に可愛がってもらえる、そう思ったのだ。
だが、その甘い考えが間違いだった。
確かに明伸は琴音を可愛がっていた。
しかしそれは、奴隷としてではなく、妹としてだ。
ちなみに雪乃は鈴香の娘としてこの家に住んでいるが、正式な手続きをしていないため、やはり他人だ。
だがそれでも、雪乃は雪乃なりに自分の業に更に磨きをかけ、時にはコスプレなどして明伸を楽しませようと努力した。
しかしそれでも、明伸は琴音を可愛がった。この時雪乃は琴音に嫉妬した。
(なんで琴音ばっかり、私だって……)
雪乃の不満は日に日に溜る一方だった。
しかしそれでも雪乃は不満を態度で示さなかった。
もしそんな事をすれば、明伸に嫌われるかもしれない。
そして何より親友であり、妹でもある琴音との関係を崩したくなかったのだ。
だが、何時までも我慢できるわけではない。
雪乃ももう限界だった。
そんな時に鈴香の提案があったのだ。
願ってもないチャンスに雪乃は心の中でガッツポーズを決めた。
「じゃあ雪乃、これから始めるけど、準備はいい?」
「はい、大丈夫です。お母様」
「そ、じゃあ始めるわね」