先生教育委員会 40
「年齢層JK……ジャンルはバラバラ。年齢層に統一感がないのは、一貫してアブノーマル……。先生はJKをアブノーマルな目に遭わせたいみたい」
人の話を聞かずに何を推察してんだ……。
加茂は探偵にでもなるつもりか?
しかも、的を射てるから厄介なんだよなぁ……。
「当たってるなら小さくして上げるよんっ」
「正解です!」
俺の即答に、真田は約束通りボリュームを下げた。
「ふ〜ん……そう……」
長谷川は物珍しげにDVDの裏表を何度も見ている。
「へぇ〜……」
川野も同じ様な行動をとっていた。
「………………」
明石は無言で本番シーンを流す液晶画面に釘付けだ。
それは俺の一番のお気に入りDVD。
担任教師のペットに堕ちた女子高生のものだ。
「センセェ準備できたの?」
「早く準備した方が、被害は少ないんじゃないかしら」
真田と加茂は俺を急かす。
加茂に至っては、まだ無傷の宝箱の位置へ視線を向け、半ば脅す勢いだ。
……アイツはエスパーに違いない。
「……絶対に音量上げんなよ」
諦めました。
被害の拡大を防ぐため、俺は渋々台所に立つ。
えー……コップは六個。
皿は紙皿で……チキンを仲良く分けましょうっと。
ピザはどうする?
チキンと同じ皿に盛るか?
それとも分けずに箱ごといくか?
机にそんなスペースがあるだろうか……。
「ん……ダメッ……」
「紗代ちゃん、濡れてない? ひゃん!」
お前らな……。
「翔子だって、パンツ濡れてるよ?」
「ボクのは違っ……あッ! の、乃々……そこはッ、んん!」
何やってんだ?
「何もぞもぞしてるのかしら? 長谷川サン……」
「べべ、別に? あんたにはカンケー、はぁッ……ちょ、なに……ひんッ!」
「そうね。私には関係ない……長谷川サンのオンナが淫らな涎を、んッ……垂らしていても……」
俺は負けないぞっ。
誕生日をお祝いするんだ、うん。
未成年はお酒はダメ!
シャンパンと一緒に磨き抜かれた炭酸飲料も買ってきたからな。
ひとまずこれを一杯目に様子を……。
「紗代ちゃんのおっぱい、ひゃッあ……柔らかい……ひぅぅッ!翔子、ダメェッ……そんなにィッ……」
何この水音。
DVDだな、うん。
「あら?蕾が顔を出てる……あなたも首輪が欲しいのかしら。あの子みたいに……」
「そこッ……んくぅッ!耳元で『変態』とか……あッ、違うぅぅッ! 私はッ、私はッ……」
「はぁん!乃々ちゃんんんッ!強くッしても、おっぱいッ、出ないよぉッ……あぁ!ね、ねぇ?ふぁッ!」
「できたぁーーーっ!」
勝った!
俺は勝負に勝ったぞぉ!
どうだっ!
見直したまえっ!
「……………………」
なになにその目?
KY……って眼差しが訴えてるぞ。
マイホームでアウェイなこの感じ……何か間違ってるっ。
「出来たなら食べるけどさー」
「何我慢してんの?今更……」
川野と長谷川はいそいそと机につく。
「まぁ、お楽しみは後ってことね。ケーキもあることだし……」
再生を止めた加茂は、変わらぬ艶を漂わせる。
「そーだよー。先生の誕生日パーティーなんだからぁ」
「ですよね」
うんうん。
真田も明石もいい奴だ。
先生は猛烈に感動するぞっ。
「つってもさー、去年のお祝いってゆー口実でしょ?賛成派の合同体罰記念だっけ?結局ヤるんじゃない」
「のぁ〜っ!トップシークレットー!」
ふんふん……。
「そゆこと……」
お前たちは俺の体が目的だったのね!?
「でも、今年はちゃんとお祝いしようって意思固めでもあるんですよねぇ〜」
「うんうん。本当の誕生日までにはメンバー増やしといてよ?」
川野も明石も否定はしないものの、暗に示された目的も俺に伝えた。
「そう。それは今よりも理想の担任に近付いている事が絶対の条件……」
「結局はそこなんだな」
「あったり前だよっ。そのための体罰なんだし、私たちは、先生が変われるって信じてるんだからねっ」
真田の言葉は、幹事らしく事態の収拾に変わる。
「じゃあ、乾杯しよ?」
「……だな」
触れ合うグラスはまだ見ぬ未来を祝福するように、高らかに反響した。