痴女子中学生 アユミ 131
「み……見ないで……」
薫くんは泣きながら言ってるけど、千穂ちゃんは目が離せないみたい。
「お願い……委員長……見ないでよぉ……」
「え?『委員長』?貴女って……私のクラスに……?」
千穂ちゃんは自分が委員長だって事がばれたと思ってオロオロしてる。
「え、あ……う……」
薫くんも言葉が出てこない。
「で、でも……カオルコちゃんなんて……でも……聞いた事のある声だし……会った事もある様な……貴女、名字は?」
「た……たかや……」
「たかや…えっ…ええ〜!高山くんなの〜」
鈍い千穂ちゃんもさすがに薫子ちゃんの正体に気付いたみたい。
「そうよ、カオルコちゃんは実はカオルくんなの」
アタシは薫くんのウィッグもとる。
「なんで、高山くんが…」
千穂ちゃんはまだ、状況が理解出来てないみたい。
「カオルくんはアタシのカレシだからね、チホちゃんに紹介したくて」
「「アユミちゃん…」」
カレシの言葉に表情が明るくなる薫くんと逆に暗くなる千穂ちゃん。
「そんな…カレシだなんて…ひどい…」
千穂ちゃんの瞳にはうっすら涙が浮かぶ。
「ゴメンね。でも、アタシはチホちゃんのことが大好きなのもホントだよ。カオルくんはカレシ、チホちゃんはカノジョ…ゴメン、都合良すぎるよね」
自分でも、この感情がイビツで都合が良すぎるのは分かってる…
でも、千穂ちゃんならわかってくれるって信じてるから。
薄っすらと潤んだ瞳を伏せる千穂ちゃん。
何かを考え込んでるみたい。
薫くんも千穂ちゃんの様子に明らかに動揺しているのかなぁ。
オドオドと落ち着きがなくなってる。
「ねぇ…私の事…好き?」
千穂ちゃんが伏せていた顔を上げて…すがる様な瞳をアタシに向けてきた。
「もちろんだよ…」
アタシも切なそうな瞳で千穂ちゃんを見つめた。
もちろん本気の気持ちだ。
「アタシには二人とも大切な…大切な人なんだよ」
アタシは千穂ちゃんの震える手を両手で包み込んだ。
「………うん…」
沈黙の後千穂ちゃんがそっと頷く。
「分ってくれたの?」
「カオルくんがアユミちゃんのこと好きなのは……何となく分ってたし……アユミちゃんが彼女にしてくれるなら……」
アタシは千穂ちゃんの言葉に、心の底からホッとした。泣きながら走り去ったりされたら如何しようかと思ってたくらい。