ギリギリすく〜と 3
「えっと……俺……いや僕の名前は高坂猛といいます。朝霧学園の2年生になります。趣味とか特技なんてものはないですが、しいて述べるなら料理ですかね?以後宜しくお願いします」
特に面白みも何ともない簡単な自己紹介だったが、取り敢えずは当たり障りのないように言い終えた。
「次は私達の自己紹介ですね。最初は私の方から自己紹介させて頂きますね。私の名前は川崎祈(かわさき・いのり)と申します。趣味が家庭菜園で、英語を話せる事が特技な永遠の17歳です♪」
更に祈は猛の方を向いて続けて話し始めた。
「えっと、君が猛君だったよね?私の事は『お母さん』でも『ママ』でも『お姉ちゃん』でも『祈ちゃん』でも好きに呼んでくれて構わないからね♪」
祈のぶっ飛んだ自己紹介に押され、猛は「は、はぁ」と返すの精一杯だった様だ。
それと、同時に舞の方からツッコミが入った。
「ちょっと、お母さん恥ずかしいでしょ……もう……あ、すいません。自己紹介が遅れましたね。私の名前は川崎舞と言います。趣味は読書で特技はお菓子作りですね。至らないこともある事もあるかと思いますが、これから宜しくお願いします」
それぞれ4人共自己紹介を終えたのを見計らって、猛はずっと気になった事があり、質問を試みた。
「あ〜、幾つか質問したいんですけどいいですか?」
猛の言葉を皮切りに皆が猛の方に注目した。
「え〜、親父と、祈さんは何処で知り合ったんですか?それと、再婚するとして、どっちの苗字を名乗るんですか?」
その質問に勝が答えた。
「簡単に言うと、勤めている会社の上司と部下の関係だ。私が上司で、彼女が部下になる。そこで、私は彼女に一目惚れしてアタックを掛けたのだ。再婚したら、私達は変わらず苗字は高坂のままだ」
「成程ね」
猛が納得しかけた所に、祈が口を挟んで来た。
「違うよ猛君。告白したのは私の方からよ。勝さんは私を立たせようとしてくれたみたいだけどね」
そう言われて猛は、勝の顔色を覗き込むと、勝るの表情は渋面を作っていた。
どうやら本当の事らしい。
「えっと、祈さんは親父の何処が良かったんです?」
「『好きになる事に理由なんてないのよ』なぁ〜んて格好良く言ってみたけど、実際は、会社で勝さんに色々助けてもらって感謝してたのでけど、いつしかその感謝が好意に移り変わってたというのが切っ掛けかな?」
ここで川崎親子は用事があるので帰っていった。
その後、俺が家に帰るとすぐに川崎舞から携帯に電話がかかってきた。
「高坂君、あたしびっくりして。えっ、これから、あたし高坂君と一緒の家に住むの?」
「あっそれから、あたしの母は名字を高坂にすると言ったけど、あたしは川崎舞のままにするから。」
「母はそれは舞の意思に任せるって言ったから」