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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 10


「…自分のお部屋の窓は開けとくから…」

「うん、分かった。じゃあ着いたら二回、窓を叩くね?」

それからしばらく他愛のない、しかし双樹にとって充実した会話をしていると逢坂家の門の前に着いた。

「着いたよ。」

少年は優しく言うが、話し足りない双樹は悲しそうに少年を見つめる。

「…大丈夫。今日の夜にまた会えるさ。」

「約束だよ?」

「うん、約束だ。」

屋敷の中から迎えの人間が出てきた。横を見るとすでに少年はいなくなっていた。

そして、その夜。

窓をコツコツと叩く音がする。

その音に、あの男の子かな?と思い、窓の外を見ると案の定、あの男の子が立っていた。

少女は少年の元に嬉しそうに近付いて、窓を開けた。

「やぁ、こんばんは。約束通り来たよ」

「う、うん、こんばんは。あ、部屋の中に入って下さい」

「おう、お邪魔しま〜っす」

少年は少女に案内され部屋の中に通されると、その中は年相応で女の子らしい綺麗な部屋だった。




「あの、本当に来てくれたんですね?」

「うん、約束は必ず守れと父さんに言われ続けて来たからね」

因みに、その後の補足に女性の場合は特にと言い聞かされていたりする。

「それじゃあ、何をして遊ぼうっか?」

「うん、じゃあね、あなたの事いっぱい聞きたいな?」

「うん、いいよ」

それから二人は、時が経つのを忘れる程、たくさんの話しをした。


それから一週間の間、毎晩その少年は双樹の部屋を訪れた。双樹は自分の事、少年の事、街の事などいろいろな話しをした。

そして一週間後の夜…

「…今日までありがとう。楽しかったよ」

「本当に最後なんですか?」

潤んだ目で双樹は少年を見る。
「ごめんね。明日からは親父についてかなくちゃならないんだ…」

「はい…分かってます…」

「でも…俺は君をずっと応援しているから、ね?」

コクンと頷く双樹。

「それにしばらくしたらこの街に戻ってくるし。縁があれば会えるさ。」

「はい…ではまた会いましょう。宗像さん?」

「ああ…」

影介は双樹の肩を抱き寄せると頬に軽く唇を付ける。真っ赤になる双樹。

「じゃあ、また会おう!」

照れ隠しかそそくさと窓から飛び出す影介。

「はい…」


……
………

回想終了。

「って事があったんです。覚えてませんよね?」

(…なんか恥ずかしい記憶が出てきたぁ〜!)

影介は頭を抱え、身悶えする。

「あの、宗像君?」

「いや、まぁ…覚えているよ…」

(若気のいたりとは言えあんな暴挙に及んだとは……俺の馬鹿…)

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