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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 63

三組のベンチ、円陣の中央に立った戒は九人のクラスメイトを見回すと言った。

酸漿戒という存在はその奇行故に三組ではアンタッチャブルである。

しかし、この男は非常に頭がキレ、そして何より依怙贔屓は一切しない。

そんな気質のため、今回のように実行委員に選ばれ、クラスメイトからも『信頼だけ』はあつかった。

「……、……、…………。まぁ、諸君。そう、宗像君を睨むものではない。観戦に来た女子は逢坂さんと鼎さんだけだが……考えてもみよう。七組に至っては一人も女子はいない。2―0で我々の勝ちだ」

「っ?」

「な、に…?………そう考えれば、俺達は勝ち組……か?」

「た、確かに……学校を代表する美少女二人が応援するんだもんなっ」

「いや、待てっ。それは早計だっ!」

「「なにっ?」」

「冷静になれ。確かに2―0だ。だが実質、その2点は俺達には全く関わり合いのない2点だぞっ?」

「なんだとっ?……くそぅっ!」

「やはり……俺達は負け組、なのか?」

「………………っ!俺、大変な事実に気付いちまった」

「「っ?」」

「聞いたことないか?美少女に交われば美少女になる、と?」

「「あるっ」」

「つまり、その原理でいけば……今日は無理にしても明日は美少女が増えている筈だ。その時、俺達は負けていていいのか?―――いいやっ、否っ!断じて否っ!」

「「おおっ!」」

「行くぞ、負け組っ!俺達は明日、勝ち組になるっ!二人の美少女に弁当を食べてくれ、と詰め寄られるくらいにっ!」

「っ………ちょ、」

「「おおおぉぉっ!!」」

クラスメイトの男子に今ではもう伝説として学校中に広まってしまった双樹と瑪瑙が己へと弁当を作った事を持ち出され、影介は反論しようと口を開くが、モテたい男達の叫びにかき消された。


……三組の野郎連中が何とも言えない盛り上がりを見せる中、七組はと言うと……

「さて、皆には悪いんだが……俺は前半はベンチにいるよ。」

七組サッカーの大将とも言える小平がミーティングが始まると共に爆弾発言を放つ。これにはメンバーも驚きを隠せない。

「ちょっ、待て!相手は三組だぞ!?お前がベンチに下がる理由がどこにある!」

こちらも事前研究の末に三組を最大のライバルと認めていたし、だからこそここで三組を叩く事の重要性も理解している。

しかし、当の小平は落ち着いたまま


「まぁ待て、何も前半で勝負を決めろと言っている訳じゃない。前半を無失点で切り抜けてくれれば後は俺が何とかするさ。」

とだけ言うと黙り込むメンバーを気にもせず三組メンバーへと鋭い視線を送る。その先には……

(さて、本性を現したか……。そう簡単に勝てると思わないでくれよ?宗像……。)



互いに負けられない一戦。そのホイッスルが校庭に鳴り響いた。

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