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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 53


キーンコーンッ………

終業のベルが鳴った。
影介が机を立ち上がるよりも速く双樹が机に弁当を置き、瑪瑙が影介の肩をガッ、と掴んだ。
影介の額を冷たい汗が流れる。

「さぁ……今日こそお弁当、食べて貰いますよ?」

「影介様、逃がしません。どちらを食べるか決めて下さい」

「……………どちらも食べるってのは……」

「「ダメですっ!」」

「くっ………」

影介は溜め息を吐いた。
昨日もそうだった。しかも昨日は逃げ出せたが今日は無理そうだ。

(なんで……こうなったんだ?)

影介は昨日の昼休みを思い出した。
体育祭の人選も一通り済み、三組のメンバーは昼食を取ろうと皆、思い思いに友人や恋人と集まっていた。
影介も今朝、双樹が作ってくれた弁当を鞄から取り出し、包みを解く。
その時……

「影介様。私、昼食を作ってきました」

瑪瑙が弁当箱を持ち、背後から声をかけてきた。
忍者特有の気配を絶ったその身のこなしに影介は一瞬、反応が遅れる。

「?……瑪瑙か。悪いんだが……」

影介は己の弁当箱を差して、言った。

「そう、ですか………」

「……何だ?」

「まさか、それは……逢坂さんが作った物ではないですか?」

今朝の二人の感じから察し、真実を見抜いた瑪瑙。流石は女の勘と言ったところか。

「………そうだが」

影介は何とはなしに答えた。
しかし、その言葉に瑪瑙はピシッ、と固まる。

「影介様……」

「な、何だ?」

瑪瑙の低い声に嫌な予感がし、影介は彼女を見ずに聞き返した。

「私のお弁当を食べて下さいっ」

だんっ、と瑪瑙は影介の机に己の持っていた弁当箱を置く。

「え〜……と…」

「ちょっと待って下さいっ!そんなに食べたら影介君は豚になってしまいます。残念ですが鼎さん、今日はお退き下さい」

「なっ……それは貴女ではなく影介様が決める事ですっ。何の権利があって貴女は……」

「彼女の権利です。それを言うなら鼎さんこそ、影介君の何なんですかっ?」

「お、幼なじみですっ!」

「なら貴女が…………」

ギャアギャアと影介の机を挟み、言い争う二人の美少女。
クラスメイト達が何だ何だ、と集まってきた。
双樹も瑪瑙もそれを気にした風もなく負けじと声を張り上げる。

(まずい……)

影介は鍛えられた危機察知能力で椅子から乱暴に立ち上がると駆け出し、教室を出た。



「影介君」

「影介様」

「「さぁっ!」」


…昨日の事を思い出している場合ではなかった。気がつけば目の前に弁当箱が2つ…


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