がくにん 5
寒い、寒すぎる。な、なんだ!!?これは?今時ナイトって……Kのないナイトの方なんじゃないか?
「あの……もしかして、殆どがこんなアホな寒い手紙ばっかりだったりしますか?」
「お察しの通り、こんなのばかりよ」
理事長は苦笑いを浮かべながら答える。
「なんという悪趣味な……でも、この文面からして、この手紙の差出人が行動する様子はまだないみたいなんですが……」
「最初はね。今、貴方が読んだのは最初の方よ。初めてこんな感じの手紙が来て、大体4通目ぐらいの時の手紙よ。」
「今はそんなに酷いんですか?」
影介は眉を顰めながら、理事長に聞いた。
「そうねぇ。今では、文面が更に気持ち悪くなって、其処に彼女の私生活を書かれたりとか、隠し撮りされた写真が手紙と一緒に添付されて送られて来たりしてるわね」
「成程。しかし、私生活がバレたりするのが気になりますね。もしかすると、盗撮機や盗聴器の類が設置されているかもしれませんね」
「でしょうね。この学校は寮だし、女子寮の管理人が還暦近い寮母さんだし、平日の昼間は学生は基本学校だから目撃も殆どない」
「故に、進入は可能。その時に合鍵でも作ってしまえば、その手の機材の設置し放題。警備員はいますが、態々寮母か特定生徒(病欠など)以外誰も居ない寮に侵入するとは警備員も考えていないでしょう。ぶっちゃけ警備は見せ掛けだけの手薄ですかね」
「あらあら、手厳しいわね」
「そう言えば、この事は警察とかには言ってあるんですか?」
「言ってないわよ」
即答ですか……考えすらなかったのか?
「何故です?こういう事は警察に言った方が早いんじゃないんですか?」
「……警察に話した所でまともな捜査なんてしてくれないわよ。第一、彼女から警察にい言わないで欲しいと頼まれたのよ?そ・れ・に、この学校には警察より頼りになる専門家(スペシャリスト)がいるからね♪」
理事長は妖艶な笑みを浮かべ、影介にウインクをした。
その笑みに少し惚けてしまった影介は咳払いをして誤魔化した。
「わかりました。
しばらくは、彼女の身辺警護をすればいいのですね?
では、今日の放課後からやらせていただきます」
「あらら?
今回はずいぶんやる気あるわね?」
「そ、それはっ」