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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 34

「ぎゃああぁあ!?」

義隆が痛みに耐えられず悲鳴を挙げると、ふと声が聞こえた。

「女の子は自分の心を持たない人形なんかじゃない。それなりのマナーやモラルを持って接するのが男として当然。あんたは不合格どころか赤点だな」

双樹が声の方向に顔を向けると、そこには窓の枠に足を掛けている影介の姿があった。
影介は双樹のすぐ傍に着地すると双樹の束縛を解き、自分の上着を双樹の肩にかけて破れてしまった制服の代わりとする。

「影……介君……」
助かった安堵から双樹は泣き出してしまう。

「ごめん双樹。ここまで来るのに手間取ってしまって……」
自分に縋り付いて涙を流す双樹の髪を優しく撫でながら影介は謝る。

「怖かった……本当に怖かった……」
恐怖から解放された双樹は影介に縋り付き、伝わる温もりから自分が助かったのだと実感する。

すると義隆が逃げようとするのを影介は見逃さず、ドアの前へと先回りする。


「よくも双樹をこんな目に遭わせてくれたな……」
自分にとって何よりも大切な人に狼藉を働いた犯人に影介は最大級の怒りを込めてそう口にした。
かたや義隆は今の状況が信じられなかった。あのダサくて根暗な影介がここまでする事が信じられなかったのだ。

「ぼ、僕に何かしてみろ!全ての力を使ってお前や逢坂を潰してやる!」

精一杯の虚勢を張る義隆。だが……

「やってみろ。その時は俺が全て叩き返してやる。お前も苦無一本じゃ済まさんぞ」
殺気を込めて返して来た影介に言葉を失ってしまう。

「本来なら二度と立ち直れ無い程にするが今は双樹もいる……。それで許してやるからさっさと消えろ。あと、写真をバラ撒こうとしても無駄だからな」

「……!」
憎々しげに影介を睨みながら義隆は放送機材室から走り去る。それを確認してから影介はもう一度双樹に歩み寄る。
双樹は迷う事なく再び影介に縋り付く。

「遅れちゃって本当に済まない……君を護るって誓ったばかりなのに……」
自身への苛立ちを募らせながら影介は双樹に謝る。
すると双樹は影介に触れている安心感からか穏やかな表情を浮かべて
「助けに来てくれたから許してあげます……ただ、次はしっかり護ってくださいね?」
と影介に抱き着きながらそう告げていた……。



ちなみに瑪瑙は戒に案内してもらうも影介は既に保健室にはおらず、哀れにも結局影介には会えずに終わってしまった。
ただ、この戒との出会いが後々瑪瑙に大きな影響を与える事となる……。



所変わって葵坂学園の学生寮。
あれから影介は双樹の精神状態を考えて寮へと戻る事にした。双樹を休ませようと思ったが双樹が一人になるのを怖がり、影介も先程までの出来事を考えて着替えさせた双樹を自分の部屋に招き入れる事にした。今は影介がキッチンで紅茶を容れ、双樹は一息付いていた。

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