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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 32


瑪瑙が戒と出て行った後、教室は普段の様相を取り戻した。
その中で双樹は自分の席で本を開いていた。先程二人が出て行った様子も見ていたし、瑪瑙が保健室の場所を聞いていたのも聞こえていた。
だがもう焦りは無い。保健室での一時で双樹と影介には深く強い絆が結ばれたし、所謂『彼氏と彼女』という関係になった訳ではないがお互いの愛情も確認した。
瑪瑙への嫉妬も綺麗さっぱり消え去り、今の双樹は影介への愛情に強い自信を持ち、彼の心の支えとなれた喜びに満ち溢れていた。

保健室での甘い一時を思い出して頬を桜色に染めていた双樹は影介がまだ戻って来ていない事にふと気付く。

(まだ保健室で寝てるのかな……?)

すると双樹は何かを思い付き、自分の荷物と影介の荷物を纏めるとそれを抱えてこっそりと教室を抜け出した。
今日は保険医もいないしまだ昼休み。影介が保健室でサボりを決め込んだ事に気付いた双樹は自分も一緒に保健室でサボる事を決心したのである。

ただそのためには先に教室を出た瑪瑙と戒より先に保健室に着く必要がある。
そのため双樹はあまり知られていない校内の近道を通るルートを選んだ。
そしてその選択が新たなる災いを生み出す事となる……。



一階にある保健室へ残すは角を曲がるだけ、となった時に双樹は自身の背後に感じる気配に気が付いた。
ここは生徒や教員も殆ど使わないルートなため、普段は人などいないはず……。
気配の招待を確かめようと後ろを振り向いたその瞬間に双樹は視界を奪われ、抵抗する間もなく薬品を嗅がされ意識を失った。

男は双樹の手から滑り落ちた鞄を拾い、どこかへと歩き出した……。
十分に惰眠を貪った影介は保健室を出て教室へ帰ろうと歩き出そうとした。すると、ふと普段は使われていない方の廊下に何か落ちているのに気付く。

ハンカチである。しかも、双樹の。
猛烈に嫌な予感を感じた影介は双樹が使ったルートを逆戻りして急いで教室へと向かう。
教室へと転がり込んで来た影介にクラスメートが驚いているのを尻目に影介は自分と双樹の机から荷物が消えている事を確認する。そして落ちていた双樹のハンカチ……。

瞬時に状況を悟った影介は弾かれる様に教室を走り出した。
影介が走り去った教室には普段は絶対に見せない影介の姿にクラスメート達はただ呆然としていた。

(迂闊だった……!双樹がストーカーから手紙が来て今日で一月。痺れを切らして動き出しても可笑しくない……!!)

自身の油断に苛立ちながら影介は考えを巡らす。

(双樹のハンカチがまだ温かかった事ら考えて犯人は校内のどこかに双樹を運んだはず。これから午後の授業はあるが直に部活も始まる。運動部が使わず、尚且つ人が立ち入らない場所と言えば……体育館の放送機材室か!!)

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