PiPi's World 投稿小説

がくにん
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 25
 27
の最後へ

がくにん 27


ところが、恋する乙女の想いは強いというべきか、執念が勝った言うべきか、保健室には学校医も体調不良などでダウンしている生徒も居なかった。

よーく、辺りを見回してみると、保健室に設置してあるホワイトボードに、学校医不在日と銘打ってあった。

どうやら今日は学校医が偶々出張だった様だ。

つまり、保健室は完全に二人きりという事である。

そう思った双樹は、一気に顔を紅潮させた。

人の感情に鋭い影介(ただ一点、恋愛感情だけは非常に疎い)は、双樹から、妙な雰囲気を感じ取り、双樹に聞いてみた。



「………双樹?」

「っはい…な、なんでしょうか?」

双樹は影介と出入り口、そしてベッドを代わる代わる見る。

「えっ…と………教室に戻らなくて良いのか?」

殺気にも似ているがそれ程、ピリピリしない双樹の雰囲気に気圧されつつも尋ねる。

「はい!クラス委員ですからっ!」

「そうか…………」

普段からは想像できない意志のこもった双樹の回答に影介は現在、自分が置かれている状況を理解し始めた。

(これは……マズい。瑪瑙の一件で双樹も、まぁ…思う所があったんだろし………保健室で二人っきりだぞ?)

チラッと保健室を見渡すと、影介の思考は更に加速を続ける。

(いやいや…双樹は俺に好意を抱いてはいるが、昨日見たプロフィールでは……処女だったはず……いくらなんでも、ねぇ……だけど、万が一は……朝、走った後にシャワーを浴びとけば良かった………じゃなくて俺の任務は彼女の護衛……あれ?護衛に手を出しちゃダメなのか?……しかし、いやいや双樹は俺に………)

悶々と思考がループする影介は只の挙動不審である。常に冷静であった影介の変わりように双樹は心配し尋ねる。

「あの…」

「っ!はいぃっ!?」

影介の上擦った声にビクッとする双樹。
影介は童貞ではないのだが、同じ年頃の女性を意識したのは初めてであった。そのため思考回路はショート寸前である。

「…影介君はホントに具合が悪かったんですか?」

「いいえ、そんな訳じゃないんですけ…っ……そ、そんな訳じゃないんだが…」

途中、敬語になってしまった事に気付き、慌てて訂正したが双樹は不信がる。

「…ただ、ほら……2人っきりだし…人に見られて誤解されたら君も困るだろ?」

「………影介君は、嫌ですか?」
「えっ……」
戸惑う影介を気にせず双樹は言葉を続ける。

「前にも言いましたよね?私は……影介君を好き……いえ、愛してます。」
影介の目を見詰め、ゆっくりと歩きながら少しずつ影介との距離を縮める。
「変な誤解されたって良い。どんな噂が立ったって良い。私は優等生のイメージなんていりません。」
その瞳には確かな決意が滲み出ていて、影介は目を逸らす事が出来なかった。ただ双樹の紡ぐ言葉を聞き取る。

「閉塞された、狭い世界に生きていた幼い私を広く、明るい世界へ誘ってくれた大切な人……」

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す