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がくにん
官能リレー小説 - 学園物

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がくにん 22

「今日からこの学び舎で、皆様と修学する事になりました、『鼎 瑪瑙(かなえ めのう)』と申します。まだ、右も左も分からない不束者ですが、以後宜しくお願い致します」

そう自己紹介して、恭しく頭を下げた。

そして、当然分かりきった事で、質問タイムに移行する事ななるのはそう時間がかからなかった。

しかし、皆が騒ぐその横で、影介は茫然自失になっていた。

別段、転校生の彼女に一目惚れしたというワケではない。

影介は彼女が何処の誰なのか知っていた。


彼女は、影介と同じ忍者で、宗像の分家に当たり、幼馴染という間柄でもある。

故に、影介は鼎瑪瑙の登場に、大いに驚いたのだ。

更に、困った問題も出てきた。

彼女との関係が露呈すれば、彼女が美人という事も相俟って、大騒動に発展する事は想像に難くない。

だが、まだ影介にツキはある。

何故なら、彼女は影介の根暗モードを見た事がない為すぐにバレる事はない……筈だ。

しかし、バレルのは時間の問題である。

名前を知られたその時点で試合終了なのだから。


だから、瑪瑙との関係を騒がれていない間に、一刻も早く瑪瑙に忍者である事と影介と瑪瑙の関係を秘匿せよと瑪瑙に伝えねばならない。

しかし、瑪瑙と接触するには、少々難易度が高い。

ただでさえ、物珍しい転校生に、その転校生が美少女とくれば、しばらく瑪瑙は質問攻めに遭い、そう簡単に開放されないだろうと予測出来る。

(はぁ……今まで受けた任務の中でも、トップレベルの難易度ではないか?命に関わる危険性はないけども……というより何であいつが此処に来たんだ?それも連絡もなしに……ん、連絡?まさかあの伝書鳩……)

本来ならこういう目のある所で伝書を読むなんて事はしないが、今は緊急事態である。

幸いな事に、転校生に気が行っている今なら、伝書を確認する事が出来る。

そして、影介はその間にこっそりと伝書を取り出し、中身を確認した。

しかし中身は近況報告と、ちょっとした世間話ししか書いていなかった。

が、よ〜く目を凝らして見ると、文に違和感がある。

じっくりと文を観察する事数秒、影介はその文の絡繰が分かった。

(あんの、アホ親父め回りくどい事しやがって。これはたぬき文の応用に、更に文をアナグラムにしてやがるな。まったくもって面倒臭い。しゃあなぇ、もう授業も始まるだろうし、速攻で解読するかな?)

因みにたぬき文とは、キーワードに狸に関する事が書かれていて、それをヒントに「た」を抜く事で作れる文の事である。

更に、アナグラムとは、既存の語句を組み換える事で、他に違う語句を作る、語句遊びの事である。

今回は、そのたぬき文の応用に、更に回りくどく、文をアナグラムにしてあるのだ。

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