がくにん 18
「では、次の質問。お前以外の盗撮仲間とか、他の誰かが盗撮しているところを見た事はないか?或いは盗撮を誰かに依頼されたなんて事はないか?」
「え、えっと……あ、そうだ!一ヶ月ぐらい前にそれらしいのは2回見たぞ。お、俺がいつもの様に盗撮ポイントに行くと、顔は良く見えなかったけど、望遠カメラの方が見えたからあれは絶対盗撮だった筈だ」
「ほぉ」
影介の勘は告げている。高城の証言が本当なら、その人物が鍵を握っていると。
「そうか、では、その人物の特徴になるものはなかったか?」
影介にそう問われると、高城は記憶を探る様にその時の情景を思い返した。
「確か、ネクタイの色が赤だったから、学年は3年な筈だ」
葵坂学園の制服のネクタイは学年毎に色が違う。
現時点では1年が黄色、2年が青色、3年が赤色のネクタイとなっている。
「3年ねぇ……1学年だけで10クラスあるのに、その中で少数の人間を探すのはなぁ……かなり難しいぞ。先が思い遣られる……はぁ……」
事態の難しさに影介は思わず溜め息を吐いた。
「しゃない、地道にやるか……おい、あんたもう帰っていいぞ」
「ほ、本当か?」
「ああ、但し、盗撮写真は没収だからな。あと、今度お前がまた盗撮や覗きを俺が発見した時、ジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスホールドかますから」
「そんなぁ……というか、なんで、そんなマニアックな技を……」
「うっさい。とにかく、盗撮写真は没収だからな」
「……はい」
そして、高城は撮った盗撮写真を影介に預けて意気消沈しながら屋上から去って行った。
「さぁて、これからだな。取り敢えず、今日のところはこんなもんでいいか。今日はしんどい帰って寝る」
そう言って、影介も屋上から立ち去り、部屋に戻り就寝した。
-----翌朝-----
ピピピピピピピピ
部屋内にけたたましく目覚まし時計が鳴り響き、影介はもぞもぞと体を起こし、音を止めた。
「ふぁ〜、ねみぃ……」
影介はいつも、大体5時半頃に起きているのだが、その理由とは、早朝鍛錬の為である。
確かに、今のままでも影介は十分強い。
しかし、日々の鍛錬の積み重ねが強さの源という事が分かっている為、強くても尚、驕る事はせず、毎日欠かさず鍛錬を続けているのだ。
影介は、寝惚け眼のまましばらく微睡んでいる。
数分後、大きく背伸びをして、立ち上がり、市販でも売っているジャージに着替え、洗面台に向かい、顔を洗う。
眠気を抜き、意識を覚醒させた。
「さぁて、鍛錬するとしますか」
そう言って、影介は鍛錬を始めた。