がくにん 12
「中務、コーポレーション…あのっ、中務コーポレーションですか!?」
「はっはっはっ…イエスと答えよう。それで影介君、そちらのお嬢さんは?」
「………」
「教えてくれても良いじゃないか、マイフレンド。君の友達は私の友達、私の友達は私の友達さ!さぁ?」
「ガキ大将かよ?たくっ…逢坂だよ。逢坂双樹。」
クワッと目を見開く珠久。
「ほう?逢坂コンツェルンのご令嬢かね?影介君もやるじゃないか、名家の娘と付き合うとは…」
「いや、付き合ってないし。」
「またまたぁ、謙遜しちゃって〜。でもいい傾向だね。頭はいいのに、やる気を出さない。運動神経抜群なのに、抑え込む。容姿だってあの姿(仕事時)を見たら、高確率で婦女子は落ちる事間違いなし。このまま影介君の魅力を伝えられないまま朽ち果てるのか、と思っていたんだけど……」
フルオートなマシンガントークを撃ちながら、珠久は双樹をじっくりと値踏みする。
「まさか、こんな綺麗な娘を落とすとは、私の眼に狂いはなかったと言う事だね。うんうん」
「おい、一人で自己完結すんなよ……って人の話し聞けよ。だめだこりゃ」
いつものことなのか半ば諦め気味につぶやく。
「さて、冗談はここまでにして本題にはいろうか。影介君、我が社に入る気はないかね?」
「なんども言うようだが断る。」
影介の返事にやれやれというように首を軽く振り両手を軽く上げながら肩をすくめる。
「君になら一部隊、いや一個小隊を任せてもと思っているんだが…まぁ興味がないだろうね。」
残念そうにそう言うとくるりと後ろを向き片手を上げた。
「まぁ今回は君の青春万歳に免じてこのくらいにしとこう。恵理君によろしく言っといてくれたまえ。では、また会おう」
「ああ、ちょっと待て。来たついでに俺等を尾行してくるアホ共を適当に伸して帰ってくんない?」
影介に呼び止められた珠久は、立ち止まって振り返る。
「ん?ああ〜、そうだね。じゃあ、交換条件に私の組織に入ってくれないかな?」
「……いい、俺が殺る」
「あはははは、冗談だって、私も最近雑務ばっかりであんまり体動かしてなかったからね。軽い運動変わりに丁度いい道具(尾行中のアホ共)があるからね。その依頼受けてあげるよ」
「悪いな。じゃ、後宜しく」
影介等の百メートル程度後方で監視を続ける黒のセダン。
中には運転手も含め武装した四人の男が乗っていた。日本人は一人しかいない。
彼等に依頼された仕事の内容は女子高生を一人、連れてこいというものだった。条件は無傷のままでという事以外特にはなく報酬はキャッシュで五十万ドル、簡単で割のいい仕事だった。
現在、ターゲットは友人の男子(彼氏ではあまりにも釣り合わない)と事前に調べた下校路を歩いている。途中、なにやら変な男と立ち話しをしていたが先ほど別れ、二人でなにやら話していた。