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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 10

言葉を詰らせる光樹に構わずひかる姫は淡々と語り続ける。
「聖夜は純粋過ぎた、故に貴方は平和を願う反面で刺激の足りない未来を拒否した。」
冷徹に見下ろすひかる姫に光樹は苛立ちを覚えた。



彼女の不快な物言いに、親友とのたまいながら彼を忘れかけていた自分に。
無重力空間で身動きままならぬ光樹を嘲笑うかの様に歩み寄るひかる姫。
「辺里影汰の存在する歴史、その歪みが聖夜を追い出した。」
妄想娘の戯言としか受け取れない光樹の返事は些か邪険であった。
「へえ?君は未来から来たとでも言うの?禁則事項です答えられません、とか?」
にも拘らず鼻先をくすぐるひかる姫の甘い吐息が光樹を逆撫でる。
「余り酷い妄言を続けるならっ!?」

無重力の空間を泳ぐ光樹の拳。
「やってみる?」
拳と入れ替わり現れたナイフ、如何にも軍用な長いブレードに反射止めの施されたソイツが光樹の喉元にあった。
具現化能力か?
「この夢では私の方が有利よ?」
光樹も負けじと念じるが、能力発動出来ない。
薄ら笑いを崩さぬままひかる姫は喉元にエッジを喰い込ませる。
「忠告しとく、真の平和を望むなら何時でも影汰を始末してあげる。」
光樹の脳内でピースが揃う。
1−E戦での暴走で、オトコギドラ騒動で、影汰を狙っていたのは・・・。
「お前かっ!」
金色の眠りから覚める光樹。
「電車、着きましたよ?光樹君?」
何か不思議な夢を見ていた気がしたが『何一つ思い出せない』光樹を、何時の間にかセーラー服に着替えた影汰が覗き込んでいた。

えったの時と変わらないカッコイイ女の子姿…やや強まったワイルド感が以前より男の匂いを醸し出しているが、元が綺麗なだけに相変わらず女装も似合う。
少し頭を振って光樹は溜め息と共に立ち上がる。
心の中のモヤモヤは取れないままだ…だが、どうする方法も思いつかないのも事実だ。
「…大丈夫ですか?、光樹くん…」
「うん、大丈夫…大丈夫と思う…」
影汰の言葉を受け流し、重い音と共に開く扉から停留所に降りる光樹…その思いがどうであれ、彼には待っている者がいる。

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