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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 9

さほど待たずして、昭和の匂いがプンプンする古めかしい路面電車がゆっくりと走ってくる。
影汰はスナイパーの眼でしっかりと『一年生校舎方面』と書いてあるのを確認し、光樹に来たよと小言で言う。
近づいてくる渋い緑の車体には、あちこちに大小の傷や落書き、弾痕まで刻まれた歴戦の勇者のようで…所々きしんだ音とけたたましいブレーキ音をを立てながら停留所に巨体を滑り込ませた。
ガラガラと重く立て付けの悪そうな鉄扉が開き、数名降りてくるのを待ち二人は電車に乗り込む。

客はまばらで、二人は容易に座席に座る事ができた。
外見同様、古めかしい内装も傷や落書きで覆われ、いつの時代の物か解らないような扇風機が一つ回っているだけの車内…『古いが頑丈』と言う理由で使われ続けている電車はそれなりの味を醸し出していた。
これなら、ここの住人の多少の『おいた』でも耐えうるのだろう。

ゴトン、ゴトンと重い音で動き出す電車…二人は何をするでもなく、車窓に眼を移していた。

「…何で僕達は…簡単に戻ったんだろう?…」
答えの出ない問い…
呟くように言う光樹にも答えの出ない事は解りきっている。
でも言わずにはいれない…何故と…
「いっそのこと『あの人』に聞いてみたらどうですか?…教えてくれる可能性は全くないと思いますけどね…」
光樹の呟きに答える影汰だが…影汰にしても答えは欲しい。
しかし、今すぐに答えが得れない事も理解していた。

十分そこそこの通学路線に揺られ、眠りに堕ちる光樹。
「ここはどこだ・・・?」

金色の無重力空間にただ独り漂う光樹。
「私の夢、貴方の夢、両方かな?」
何も無い不思議空間で器用に腰掛ける少女。
桜川光樹の目の前に浮かぶ桜川ひかる、夢の中ならありか?と一応納得するも、彼女の両脚の奥、薄桃色の亀裂が視界に入るなり、ようやく互いに全裸である事を認識した。
「えっち。」
「あわわわ?ごめんなさい!?」
ナニ自分に謝ってんだよ、というツッ込みはさておき。
「で?何の用さ?ひかる姫?」
前述の通り彼らの日常はかなり非常識ハイスぺックなので適応も早い。
態度を改めるひかる姫、薄ら笑いでのたまう。
「貴方は聖夜を裏切り影汰との未来を選んだ。」
光樹の幼馴染、星野聖夜。
「親友だし、面会ぐらいは行ってる・・・けどナニが言いたいんだよ!?」」
彼は高ランク能力者として特別科に編入。
神の領域か、人として過ぎた力を持つ者を囲う檻なのか。
「本来なら、貴方は聖夜と共に何一つ争いの無い学園を創造する筈だった。」

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