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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 86

玄人の速射した3発は誤差に従いルーファスの右半身を貫いた様だが、彼は依然闘志を振り絞り左の銃を速射して来た。

ルーファスのガバメント・キンバーカスタムから放たれた.45口径はワルサーP.38の華奢なスライドを歪ませ撃発機構まで破壊、弾薬の誘爆が玄人の左手を引き裂く。

追い打ちでトドメ刺さんと迫る花鈴の凶刃。
ダメージの蓄積で意識朦朧、膝を付く大阿門D玄人。

気が付けば…先の通信で駆け付けた神凪晶が泣き叫ぶレイナを説得して保護、同じく馳せ参じた島本甲太郎の巌が如き背中が戦いを引き継いでいた…。

こうして辛くも捕虜奪回成功、E組vsF組の試合はE組勝利2ポイント先取。
E組全体での被害も軽微ではあった…が。

―スタジアム個室喫茶―

「大阿門くんて…僕らより早い時期から何かこう…色んなバトル繰り返してる勝ち負けとかあった筈だから気にする必要は…。」
「No…慰めて欲しい訳では無いのである。」

重症判定から回復した大阿門D玄人と、同じく島本甲太郎、病室を抜け出した二人が相対していた。
あくまで『助太刀のお礼』という形で連れ出された島本甲太郎。
蒼流命をE組の良心とするなら、彼はE組の真心か。

彼の悪くもないのに平謝りするかの様な低姿勢は、どちらかと言えばE組の一部女性陣、約一名、具体的には西原芽衣子の噴火を抑える役回りが適切とされていた。

「僕に相談っても…えと…恋人さんとか…あの…さもなきゃ蒼流くんみたいな…お喋りさんの仕事じゃない…かな?」
「Yes…烈士・島本甲太郎、君も能力者以外としての過去とてあろう。」
烈士と言う枕詞を付け、助太刀の主への敬意こそ払っていたが、甲太郎の拙い反論は軒並みスルーで玄人は問うた。
戦闘中に偶然?蘇った過去への動揺、それが大阿門D玄人の相談事であった。

島本甲太郎はE組首脳陣の一人、それも西珠久の配下に違いはあるまい。
しかし玄人は、だからこそ多少なり自分の裏事情を理解して貰った上で相談が出来る…そう踏んでいた。

「昔のガールフレンドでも思い出したのかい?」
「貴様ァ!心を覗くでないッ?貴様も西の如く妖術の類で我輩を…。」
甲太郎のあまりに直球ストライクな返答に怒り狂う玄人、しかも烈士から貴様…妖術使いに格下げした上である。

「いや普通に『過去』って辺りで顔赤かったから。」
「何…だと?」
どこまでも駆け引きに弱い男、大阿門D玄人であった。

甲太郎としても一応はE組のブレインに含まれるメンバーであり、あまり表向きには語らないが西珠久と近い立ち位置に居る。
故に玄人の少年期や、他の謎めいた生徒達の裏事情にも通じている方なのだが、あえて触れずに話を反らしていた。

学園の裏社会寄りに属する生徒としては人が良すぎる島本甲太郎、故に『E組の真心』などと皮肉めいた二つ名を頂いているのだ。

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