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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 82

それは使い捨ての増加装甲として砕け散りながら役目を果たし、標準型の9mm弾程度、フェイスガードとボディスーツ型防具で十分に止められる威力まで軽減した。

顔にまとわりつく氷の飛沫を払い、再びスケート側に精神力を集中するも、また距離が開く。

「くそっ、走りながらの、背面撃ちで、この射撃技術かよ…ルーファス、まだか?」
そして氷結能力の副作用で花梨の体温が急激に下がり始めていた。
瞬発力を主とした彼女に、長時間小出しにする様な能力発動は酷であった。
花鈴に急かされるルーファス、その目は今まで下ってきた山岳地帯の更に上を、頂上付近を見ていた。

集中、消耗を減らしなおかつ最大の効果を得られるように。
「お嬢様! 山頂の雪を崩します、武蔵君!」

「・・了解だ」

ルーファスの伝えたいことを理解したのか、インカム越しに武蔵の肯定、心なしか声が獰猛な響きを持っていた。

「お願いします。事が動いたら、無理をさせてしまう事を今のうちに謝っておきます」

「水臭い、気にするな」
二刀流の加速能力者、黒津武蔵…決して無表情と言う訳でもないが、怒っているのか笑っているのか理解し辛い表情を貼り付かせている。
まぁ一応ルーファスは日本人の愛すべき一面として理解していた。

「いや、既に、無理させられてんの、どっちかつーと、僕よ?」
武蔵が戦線離脱する後も前線に残る合方、白地小次郎が通信に割り込み、言うだけ言うと勝手に切ってしまった。

多分、葵のチャンネルに合わせた所で悲鳴しか聞こえて来ないだろう。
彼女は…よりによって『E組の大魔神』の静かなる怒りに触れてしまったのだ。

大阿門D玄人は先の銃撃で失速を始めた花鈴(とルーファス)を尻目、特に仕掛ける様子もなく距離を稼いでゆく。

…しかしその逃走コースこそ狙い通り…。

既にF組側の勝利は絶望的、今こそが一矢報いる好機。

「後は…頼む…ぞ…ルーファ…ス…今回は…お前が『ガンダム』だ…。」
「お…お嬢様ッ?」

「わたし…は…ごーすと…では…ない…この…じゅうょう…な…せんきょく…で…」
「あぁ…あああっ?」

ルーファスはもう、返す言葉が思い付かない。
花鈴の口元から吐き散らされる涎と吐瀉物の泡が、ダイアモンドダストの渦巻くが如く飛散してゆく。

今までの試合であればルーファスも、ジャパニメーションに則った小粋なジョークでも切り返していた。

しかし今、花鈴は本能で走る…いや能力発動を続けながら滑走するのみ…ランナーズハイの絶頂さえも通り越し、その命(死亡判定)賭してまで。

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