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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 80

「なーてぇ?なしてエモノ引っ込めるん?喧嘩売っとんか兄やん?」
「喧嘩も…何も…そういう試合だし…。」
この敵意剥き出しの女子生徒、やや遠くからも平原花丸や神凪晶の繰り出す剣戟が響いてくる。

暴力の臭い、能力発動のスイッチ、甲太郎の瞳に蒼く暗い鬼火が宿った。

「それともぉ?ボクのゲンコはチャカより強い〜て厨房設定ですかぁ〜?」
尚も丸っこい頬を歪めて唇を突き出し挑発する葵に、甲太郎から一切の表情が消えていた。
島本甲太郎の能力『ノンフェイス』は感情の排除で、メンタル面での優位を確立させる。

「先程の銃弾回避を計算に入れぬ突撃、君には射撃を無効化出来る能力があると推測した。」
そしてついさっきまでの挙動不審そのものな甲太郎とは、打って変わった饒舌と冷静な分析…葵は自身の射撃反射能力『リフレクト』を見抜かれ軽く舌打ちしていた。

「そして参考までに、僕の格闘技術には.45マグナム相当のスペックは含まれていない。」
しかしながら、甲太郎の淡々と語る様子に、葵は彼が『ヤル気を出してくれた』事に対し、歓喜を堪えていた。

「つまり君は死亡判定を受ける迄、相当痛い思いをする事が予測される。」

「上等やねぇ〜?遠回しに『イワす(ブチ殺す)』聞こえたわぁ〜!」
葵は剣呑な物言いの中に、何処か陶酔した口調を織り混ぜる。
ノリの良さに重きを置く彼女にとって、喧嘩は暴力ではなく祭、これこそがこの学園でのコミュニケーションであると確信する人種なのだ。

「めっさ素敵な口説き文句やん!兄やぁんッ!」
葵は先手必勝一撃必殺とばかり、戦斧をスイング、対する甲太郎は半身構えのスリ足で間合いを詰める…。

「いゃあああっ!」
喚声と共に叩き付けられる戦斧に対し、甲太郎は更に上体を捻り、斜めに背を向けた。
「ふむっ!」
「なっ…?」
切断角度を反らす絶妙な受身、甲太郎は背中に戦斧を滑らせながら反転、葵にタックルを見舞った。

「くぅ…このぉ!」
葵は体勢を崩しかけながらも左の平手を掬い上げて金的狙い…反則ギリギリのラフプレーだ。
「ん…。」
しかし甲太郎はその奇襲を軽く膝で払いのけつつ、葵の頭頂部へ拳槌を落とし、動きの鈍った所へ臓腑を貫かん勢いの掌底突き。

脳髓が揺れる、息が詰まる、酸味に鉄錆混じりの嘔吐感が喉を焦がす。
少なくとも強豪E組の前衛選手を、木偶の坊と侮った後悔、そして畏怖。

先の金的狙いへの仕返しではあるまいが、膝の一撃が股間に迫っていた。
そこは女性とて立派な急所、子宮破裂確定の一撃だけは回避したが、軽い失禁にスパッツが濡れた。

「ヒィ…?」
葵は悲鳴混じりで必死の反撃に出るも、まるで道場稽古、甲太郎は容易く避け、捌き、受身を取る。
僅かでもオーバースイングを出せば、出っ張りでも削る様に隙を突く連撃。

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