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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 75

蒼流命が平原花丸に向き直ると、彼はどうと言う事もなく、試合用のプロテクターの具合を点検していた。
「先に言わして貰うと、ヤッてねぇ、そして裸が平気な程『お子ちゃまーズ』でもねぇ。」
余りの無茶ぶり、不可解な物言いへの疑問に、蒼流命は飾り抜きに感情を露にした。

「だったら何でッ!新手の変態ッ?それとも異常者ッ?」
「すげぇな、その『仮面』越しでも怒ってんのが伝わってくる、そんな『顔』出来たんだな?」
飄々と語る平原を蒼流は怒鳴り付ける。
「サッパリだよッ!何が言いたいッ!」

「俺達、同じ部屋で暮らす以上は家族だ。」
蒼流は聞こえる様に舌打ちしたが平原は気に留めない。
「不幸自慢でもお前さんにゃ負けない…いやこの学園に居る奴は大体そうか。」
蒼流の情報網だと彼の両親は有名医大出身の医師と聞いていた。
金持ちなりの苦労話かとタカをくくっていた蒼流は、ふと平原花丸の表情に薄っすら歪む傷痕に気付く、いや隈取りに似た人為的な…手術跡。
「俺は改造人間つーか仮面ライダー…の出来損ないって所か、臨床実験って知ってるだろ?」
「まさか…それで能力者に…?」
「少し違う。」
「んぅ?」
蒼流の疑問に答えるべく語り始めた平原花丸。

ある日、平原花丸の両親は『献体』として医師学会に彼を差し出した。
法に触れる臨床実験と知らず、医学の発展という両親なりの『正義』の元に。

彼を取り巻く正と負の意思が呼び水か、手術中に能力覚醒(つまり『実験』自体は無関係)。

「11〜12歳の餓鬼でランク外能力者っても、キ○○イ共叩きのめすにゃ十分さ。」
身体中を切開された状態から拘束具を引き千切り脱走、そこで偶然、銀城刹那(当時無職)に保護されたそうだ。

「見た目『極道』な兄ちゃんに俺は訳も解らず…わんわん泣いちまった。」
『あくのそしき』から脱走した少年ヒーローも、見たまんま極道なお兄さんは怖かったらしい、笑い話の様に語る平原。

敬虔な医学の信者、未成年の我が子に、さながら『将来は野球選手に育てる英才教育』感覚の両親。

「君は…ご両親を…。」
「怨んじゃいねぇ、ただ俺と同じ、偏っちまったんだ、正義に。」
それ以上、二人の間から言葉は出ない。

空気を読んだかの様に、風呂上がりの南田美波は声を掛けた。
「お風呂、空いたわよ?」

「あいよ?」
と制服を脱ぐ平原花丸。
立派な逸物は別として、ギリシャ彫刻の様な肉体にも、やはり無数の傷痕…手術痕を晒し、南田と入れ代わりで浴室に向かった。

唖然となる蒼流命の傍ら、南田が濡れた身体を拭っていた…まるで、どこぞのアヤナミ嬢か、それともモトコ少佐か…堂々たる裸身にまた驚く。
「見物してても構わない、平原が言う通り、部屋じゃ家族の付き合いよ?」
「あ…あぃ…。」
家族というより、軍隊式の裸に対する認識とも取れた。
蒼流も一応、納得する事としたが…流石に『花弁』からは視線を外す。

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