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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 72

より具体的には、結界だかゴーストハックだか情報制御空間だか、そーゆー所から戻って来たタイミングで…。
「…兄貴…。」
しかも猫手握りの両拳で口元を押さえる、いわゆる『萌えポーズ告白仕様』であった。

目の前では影汰が返答に困っていた。
「光樹くん?」
「兄…貴…えっ…あれっ?」
もっと具体的には『ルーくんvs誠二』の時と似たようなタイミング、光樹の脳内に残る断片的な記憶もこれまた曖昧で、弁解のしようがない。

ビアンかつ腐女子属性の量子は、何やら複雑な表情でメガネを輝かせていた。

大手ゼネコン企業の社長令嬢、賀集量子。
ガチムチ職人のみならずインテリ技術屋にオシャレな建築デザイナーと、各種イケメン揃いの環境で、幼い頃から脳内カップリングしてたのだろうか。

「えーと…気の迷いなんだ…わかるよね影汰くん?」」
光樹としちゃ、そうとしか説明のしようがなかった。
量子の方を盗み見ると、生BL現場に激しく鼻息を荒げていた…見なかった事にしよう。

「まぁ…今に始まった事じゃありませんけど…何か僕に対する偏見を感じます。」
影汰は虫を見る目で光樹を見下ろしている。

もう平謝りしかないと考え始めた光樹は『アレ?』と頭を軽く押さえた。
異次元空間、二度目の往来ともなると、曖昧ながら多少の記憶が甦る。
『熊野』
『あの兄弟』
『ひかるえった』
何か関連性があるのではないか?私闘スタジアムを通じた熊野の後継者争い…倶利伽羅お師匠がまだ隠している何か。

「ゴメン…夢か何かの記憶が…ごっちゃになってるみたい。」
光樹は影汰の肩口辺りに顎を載せる様に身を預け、消え入る様に謝罪した。
量子のメガネは、かなり濃い目に輝いている様だが放っとこう。

「疲れてるんでしょ…光樹くんって善意悪意問わず、気苦労に背負込んじゃう人だから。」
同じ女子力でも女性アスリートの様な肩幅は妙に居心地が良かった。

「だいいち僕は『兄貴』なんて御大層な男じゃありません。」
いやしかし、BLやら八○一やら抜きに影汰から、夢の中で『兄貴』と呼んだ誰かの面影は感じる。

「友達だ。」
影汰が光樹の背に軽く腕を回す。
それでいい、それがいい、語らずとも通じる安心感。

量子はとうに鼻血を吹きながら、物質透過能力で芝生の上に、土左衛門状態でプカプカ浮いている。

結局熊野に関しては疑問が増えたのみ、しかし彼とならやっていけそうだ。

影汰が光樹を離しバイクに跨がる。
サドルバッグに軍用ライフル・ガーランドを引っかけた、地味で無骨な米軍型ハーレイ…以前、不良から拝借した後、律儀にもバイト料をはたいて正規に譲り受けたらしい。
影汰の『起きろ』という一言に起動音を響かせたのは何かのジョークだろう。
「じゃ…僕は男宿の当番でパトロールがありますから…。」
「うん、また明日。」
何かやっぱり誰かに騙され踊らされ、レールに嵌められているのではないかと言う疑問。

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