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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 71

誠二の抜き打ちしたナイフがソッ首落としに誠一を襲うも、その凶刃は太刀筋の後追いで握り込まれた。
「本体が五体満足だって証だろうが。」
眩い電光、能力者対応の特殊ステンレスが電離融解、鋭い破裂音と共に消滅した。
バッタの様に誠二が跳び退き間合いを取った所、誠一は悠々とした仕草で懐から、ソウドオフ仕様の二連式ショットガンを抜いていた。
「そんなモンが僕に…。」
銃声と共に閃光が走る。
光樹は溶接工場の社会見学を連想した。
射出された散弾は誠一の電撃能力でプラズマ化、拡散ビームと化していた。

「電撃能力者同士なら電撃は効かない…と踏んでたろ?」
誠一がポケットから出したハイライトを指先の電流火花で一服点けたその先、文字通り蜂の巣と化した誠二がのたうっていた。
「兄貴より優れた弟…ってのは中々居やしないモンだな。」
やがて誠二はダメージの蓄積で分身が維持出来なくなったか、モザイク状の砂嵐が伝染していった。
「うぎゃはァアアアッ?僕の身体ァアアアッ!猥褻物扱いになってるゥウウウッ…これで勝ったと思…。」
「えーと…桜川(ずどん!)光樹くんだったか、名乗らして戴こう、鈴木誠一だ。」

誠一は誠二の消滅を確かめ銃を仕舞う。
「奴も当分オイタ出来ないだろう。」
そして恐らくノーブラであろう、艦載砲弾のような乳房を誇らし気に揺らす。
光樹は屍の様に瞳を濁らせ、下着を直しながら機械的に立ち上がり、投げ遣りな気分で誠一の仮面越しの瞳と向きあった。
「桜川光樹…キミの気持ち、痛い程にわかる。」
「誠一さん…だっけ?めんどくさいよっ!どうせ誠二って人と一緒で!意識を読んでわかったフリしてんだろっ!?」
無理もない、誠二の暴露は、光樹のアイデンティティーを軒並否定したと言っても過言ではなかった。

光樹はフテ腐れていた、兄弟だか姉妹だか揃って説教癖持ちだと。
しかし誠一は叫ぶ!
「わかるさ…痛い程になッ!主人公は何時だって置いてけぼりッ!」
「何故だろう?伝わってくるよ?誠一さんの痛みが!他人という気がしないよ!」
光樹のハートをガッツリ掴む、世代を越えた、魂の共鳴であった。
「例えどんな道でも自分の足跡が刻まれる!他の誰でもない、自分自身が刻んだ足跡に違いはないだろう!」
「僕だけの足跡ッ!」
不器用な、勢い任せのシャウトに心が震えた。
「気合い入れッぞ!歯ァ食い縛れッ!」
「はいっ!」

そして『普通こーゆー時ってパンチかビンタだよね』というタイミングで、黒パンツ丸出しの前蹴りに脳が揺れ、光樹の顔面にそれこそ『足跡』が刻まれた。
スッ飛びながら寧ろ『気持ィイイイッ』と脳内麻薬が渦巻く程に強烈な蹴り。
「あえ?」
光樹がフラフラとパンチ?ドランカー状態で立ち上がった頃、既に誠一の姿は爆音と共に夕日の向こう。

何処か的外れ、蛮勇そのもの、脳裏によぎった讃辞たる代名詞を…彼の背中に贈った。
「…兄貴…。」

そして、現実世界と微妙〜にカブりながら、時は動き出す。

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