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香港国際学園〜第二部〜二章
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜二章 70

エロ漫画の世界から、ギャグ漫画の世界に引越してしまったかの様な展開を引き起こした主。
バイクから降りた仮面の女を、光樹はボンヤリ眺めていた。
偽ひかる姫(誠二)と同じくやはり年齢不相応なセーラー服、今気付いたが二人のそれは微妙に光樹の着ている物と比べ、デザインが違うというか、何と無く古臭い。
ぞんざいな仕草でショートヘアを掻き上げた、目元を覆う黒いカトーマスクの下に、野生的な瞳が輝く。
「へんりえった…ちゃん…いや違う?」
そう『偽ひかる姫vs偽へんりえった』の構図。
「誠二…俺の名前を言って見ろ?」
「あれー?アンタは五年前からアドルフん所でズッコンバッコン明るい家族計画じゃなかったっけ?」
仮面女の錆付いたジャックナイフの様なハスキーボイスに対し、顔面にタイヤ跡を付けたままの誠二が軽口を叩く。
「ひっさしっぶりぃ?まーいーや!会えた記念に一辺死んで見…。」
誠二の言い終わるが早いか、仮面女は顔色ひとつ変えずローファーに固められた爪先を叩き込んだ。
「お前が死ね。」
唾液と砕けた前歯を撒き散らして退けぞる誠二を、仮面女が蝶々サンバで蹴り回す。
「俺の名前を言って見ろ。」

「誠一ィイイイ?何でココに居るゥウウウ!?」
地獄からの呪詛にも似た誠二の絶叫。
「お前と同じ…電撃能力の応用で送り込んだ分身…ネットは広大だな。」
誠一は事も無さげに切り返し、ジグザグサンバで蹴りを入れる。
「ま…待って、お兄ちゃぁ〜…んみぎゃ?」
「誰が喋れと言った?」
カインとアベルか、何故に血を分けた兄弟が此処まで憎み合う事が出来るのだろう?
「お前がッ泣くまでッ!」
「ひぎぃいいい?」
「蹴るのをッ止めないッ!」
「らめぇえええ?」
てゆーか誠二が一方的にボコられてるだけなのだが…。
どんな原理だか『電撃能力の応用』とやらでコサえたらしい、奴隷ズ人形が消えて行く中、光樹としちゃ嵐が過ぎるのを待つしかない心境。
この時…ああこの二人は本当に面倒くせぇ人達なんだな…と光樹は思った。

誠一は約束通り、誠二に泣きが入ってきた辺りで蹴るのを止めた。
「さて…弁解ぐらいは聞いてやろうか…俺は優しいんだ?」
「うぅ…主人公気取りの奴等を煽って…光樹くんの経験値にする…熊野の後継者を育てるのに、これ程確実な方法はないでしょ?」

さながら光樹を『ゲームのお気に入りキャラ』として育てるかのような物言い。
光樹の脳内に先ず怒りが駆け巡り、次いでおぞけに身を震う程の恐怖が支配した。
私闘スタジアムにも彼女の撒いた『種』が?いや光樹の学園生活そのものまでが操られていたのではないかと腰を抜かす。
「特に傑作は天…。」
「相変わらず黒幕気取りかッ?誠二ッ!」

軽口を遮る誠一に相対し、立ち上がる誠二の損傷箇所が復元されてゆく。
「てぇかさ、分身ったって本体も結構痛いんだよ?散々蹴り回してくれちゃって…。」

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